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「人間の介護に近い」 増加傾向にある老犬介護 プロが伝える“今からすべきこと”とは
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医療技術や食生活の向上で、犬の寿命は近年、伸びているといわれています。一般社団法人ペットフード協会の調査によると、1983年には7.5歳だった愛犬の平均寿命が、2024年には14.90歳と、なんとわずか40年ほどで約2倍に。それに伴い、晩年に介護を必要とする犬が増加しているといいます。愛犬の一生をより良いものにし、後悔なく愛犬を見送るために飼い主がすべきことは、なんなのでしょうか。飼い主の「心の持ち方」について、老犬・老猫ホーム「あにまるケアハウス」で開講している「愛犬のトータルケア講座」が人気の清水佐知子さんに、お話を伺いました。
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愛犬の老いに直面し、愛犬の介護やリハビリの重要性を認識
老犬介護のスペシャリストで、犬の介護やリハビリを行う「ドッグケア スマイル」を運営する清水佐知子さん。現在は埼玉県を中心に、犬の訪問介護やシニア犬のケア講座などを開催し、多くの飼い主が愛犬と幸せに暮らすためのサポートを行っています。
もともと動物病院で動物看護師として働いてきた清水さんは、自身の愛犬が高齢期に差しかかったことをきっかけに、老犬介護の学びを本格的に深めていったそうです。
「子どもの頃から犬と暮らしてきましたが、私自身がオーナーとして初めて迎えた子が、ラブラドールレトリーバーの『芽衣(メイ)』でした。もちろん親と一緒に飼っていた子にも愛着がありましたが、特別な思い入れがあります」
13歳になった頃から、歩き方がゆっくりになっていったという芽衣ちゃん。体が大きいこともあり、清水さんは早い段階から、介護のことを考えていました。
「職業柄、看護師と飼い主でできることが違うのはわかっていました。そのため、シニア犬にとって大切なことを改めて学ぶことに。犬のためのマッサージや整体などの技術も習得しました」
飼い主として、できることはすべてやってあげたいと、介護のことだけでなく、さまざまなことを勉強したという清水さん。最終的に、芽衣ちゃんが寝たきりになることはなく、大型犬としては非常に長寿な17歳7か月まで生き抜きました。清水さんの献身的なケアもあり、亡くなるギリギリまで、自分の力で動き回ることができたのです。
「こうした自身の経験から改めて実感したのは、毎日のケアにより、愛犬の健康を保つことができるということでした」