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「子犬の頃のようにたくさん褒めて」 愛犬の健康寿命を延ばすために 老犬介護のプロが教える“5つの習慣”
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愛犬の健康寿命を延ばす、清水さん流・5か条とは
続いて、愛犬の健康寿命を延ばし、一日でも長くともに暮らすために、押さえておきたい5か条をお聞きしました。
1. 適切な食事
「最近はSNSなどで手軽に情報を調べられるため、情報が多すぎて悩んでいる飼い主さんが多いようです。フードは健康に大きく関わるので、やはり飼い主さんが納得したものを与えることが大切。かかりつけの獣医師など、信頼できる人と相談しながら、愛犬にとって最も良いと思えるごはんを与えてあげましょう。こだわりすぎると手詰まりになりがちなので、選択肢を狭めず、いろいろ試してみることをおすすめします」
2. 適切な運動
「寝たきりになるのを防ぐには、“筋肉貯金”が大切です。散歩はもちろん、適度に運動をさせ、後ろ足をしっかりと鍛えておきましょう。犬を飼うから……と部屋をバリアフリーにしすぎると、逆効果になることがあります。楽な生活は筋肉が衰える原因になってしまいます。状態に合わせた運動負荷は、あっても良いでしょう。また、散歩はできるだけ有意義に。だらだら歩くのではなく、ときどき走ってペースを変えたり、コースを変えたりして楽しみを増やしてあげることで、犬のモチベーションも上がります」
3. 口腔ケアはしっかりと
「歯周病菌が健康被害を起こす点も、人間と同様です。幼い頃から歯ブラシに慣れさせ、歯磨きをしっかり行いましょう。若いうちは麻酔をかけての歯科処置も行いやすいと思いますが、シニア犬になると麻酔のリスクが高くなる傾向があります。毎日のケアで歯周病予防をしてあげましょう」
4. ストレスの少ない生活
「犬も人間同様に、ストレスを感じます。ストレスを取り除くためには、飼い主さん自身が、精神的に良好な状態を保つことが何より大切です。犬は常に飼い主の影響を受けるもの。自然の中で愛犬とともにリフレッシュするなど、ともに笑顔になれる時間を作りましょう。私自身、愛犬のうれしそうな顔を見たいがために、よく山に行っていました。うれしそうな愛犬の顔を見ると、私たち人間もストレスが解消されますよ!」
5. 社会性を身につけさせる
「犬の社会化期は生後3か月頃までといわれますが、生涯通じて社会化を続けましょう。コロナ禍などの影響で、ほかの犬とのふれあいが足りず、社会性のない犬が増えているとも聞きます。社会性がないと、他人に預けることができず、治療や介護が必要になったときに飼い主さんの負担が増えてしまうことも。いろいろな人や犬、環境に慣れさせ、社会性を身につけさせ、犬としての器を大きくしてあげることも、犬が元気に暮らしていくうえで大切です」
子犬時代のように、大げさに褒めてあげることも刺激に
愛犬の高齢化が進んだ結果、認知症を発症する犬が増えています。夜鳴きや徘徊などで、ご近所トラブルに発展してしまうことも。こうした事態を防ぐためにも、認知症予防をしていきたいですね。
「シニアになるとよく寝るようになるため、生活が単調になりがちです。できるだけ刺激のある生活を与えてあげましょう。散歩に行く、日光を浴びる、ワクワクすることをして笑わせてあげる。こうした刺激を与えることで、脳の衰えを防ぐことができます」
また、シニアになるとできることが減り、飼い主から褒められることが減ってしまいがちなのだそう。
「ちょっとしたことでも、子犬の頃のようにたくさん褒めて、犬が『うれしい!』と感じる瞬間をたくさん与えてあげてください。それが、良い刺激になります」
日々の心がけが、明るい未来へとつながっていきます。最期の瞬間まで、愛犬と笑顔でいられるように、日頃から準備をしていきたいですね。
愛玩動物看護師、老犬介護スペシャリスト、ペット食育協会(R)指導士、ペットマッサージセラピストほか、愛犬のケアに関する資格を多数所持。約14年間、動物看護師として働き、埼玉県羽生市に「ドッグケア スマイル」を立ち上げ。老犬・老猫ホーム「あにまるケアハウス」とタッグを組んだ「愛犬のトータルケア講座」を開講中。
(和栗 恵)