仕事・人生
フラワーアーティスト→実業家 人生は挑戦の連続 シンガー由美子さんの成功への道のり
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人生にはさまざまな挑戦がありますが、ときに、意識的に避けてきたことに向き合う必要があるかもしれません。フラワーデザインの世界で成功を収めたシンガー由美子さんは、さまざまな出会いによってチャンスの扉を開け、現在はコンサルティング会社を経営。60歳で、ワインの輸入販売を行う株式会社ミレジムの代表取締役に就任しました。年齢を重ねるごとに活躍の幅を広げ続ける由美子さんに、波乱万丈な半生を振り返っていただきました。
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夫の会社を受け継いで社長として奮闘
フラワーアレンジメント会社「HANACHIYO FLOWER DESIGN STUDIO」と兼任して、テーブルコーディネートから空間デザインまで、食のトータルプロデュースをするコンサルティング業を立ち上げた由美子さん。
順風満帆な日々が続く一方で、夫が経営する株式会社ミレジムの後継者が、なかなか決まりません。そんななか、2023年に由美子さんが代表取締役に就任しました。
「ワインの知識はあったものの、ビジネスで使うに足るワインの知識習得に苦労しています。料理とワインの相性も、ブドウが育った環境を理解しなければ、お客様に説明できません」
現在は、世界の約100社のワインメーカーから選りすぐりのワインを仕入れ、レストランの要望に合うものを紹介するビジネスがメインです。また、夫の長年の夢が叶いオープンした、静岡県富士宮市の朝霧高原にある、2000ヘクタールを超える広大な「富士山ワイナリー」のアドバイザーもしています。
「1万本の苗木を使用し、朝霧高原や山梨県山梨市などでヨーロッパスタイルの垣根栽培を始め、甲州ワインを作ったところ、専門家からもお墨付きをいただくことができたので、スパークリングワインの製造にもトライ。試行錯誤の末、2019年に『シゼン・スパークリング甲州』をリリースしました。今では、日本を代表する高級日本料理店で扱っていただいています」
ワイナリーのカフェをプロデュース
現在、ワインのファンを増やす目的で、ワイナリーツアーも行っています。ワイナリー見学とテイスティングは、1名から参加可能。春はお花見ピクニック、秋にはブドウの収穫、冬はワインテイスティング会など、季節ごとのイベントを体験することができます。
また、その敷地内には、富士山を真正面に臨む「カフェ シゼン」も。2024年にオープンしたそこでは、地元シェフによる料理やデザートが提供されており、由美子さんがプロデュースしています。地元の食材を使った軽食やスイーツが楽しめ、季節ごとに新メニューを考案しています。
さらに、オリジナルワインをはじめ、ノンアルコールワイン、フルーツのスムージー、地元のクラフトビール、自家製ジンジャーコーラほか、静岡産茶葉の紅茶など充実したラインナップ。店内では、無料でワインテイスティングも可能です。
これほど多忙な日々を送りながらも、海外から取引先が来ると、自分で料理を振る舞いゲストを歓迎したり、会食やパーティーには毎日のように出席したりと、エネルギッシュな由美子さん。
人との出会いを大切にして、ネガティブなことにはとらわれず、ポジティブ思考を強めて前へ前へと進む。由美子さんの華やかなキャリアは、こうして形成されていったのです。「花があると邪気を吸い取ってくれて、その空間が生きてくる」と語るように、ポジティブ思考のベースになっているのは“花”なのかもしれません。
(Miki D’Angelo Yamashita)

Miki D’Angelo Yamashita
コロンビア大学大学院国際政治学修士、パリ政治学院欧州政治学修士。新聞社にて、新聞記者、雑誌編集記者、書籍編集として勤務。外信部、ニューヨーク支局、パリ支局、文化部、書籍編集部、週刊誌にて、国際情勢、文化一般を取材執筆。