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どうぶつ

野生から保護され、人間と暮らすタヌキ 投稿者の献身に涙…幸せな“今”をとらえた一枚に感動の声 「大切なものは、何ひとつ変わらない」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

視覚障がいを乗り越えて―3歳になったムギちゃん

よりタヌキらしく成長したムギちゃん【写真提供:SCIENCE FACTORY ltd.(@1996SF)さん】
よりタヌキらしく成長したムギちゃん【写真提供:SCIENCE FACTORY ltd.(@1996SF)さん】

 注目を集めた「ムギ」ちゃんは、3歳の女の子です。動物プロダクションを経営する奥平さんのもとでは、特別な事情で保護された野生のタヌキが4匹飼育されており、そのうちの1匹として大切に育てられています。

 ムギちゃんには幼少期から視覚障がいがあり、現在も、白内障の進行によって左目が見えにくい状態が続いているそう。信頼できる相手には全身を預ける一方で、環境の変化や音に敏感です。「防衛的な行動を見せる、野生動物特有の繊細さを持ち合わせています」と奥平さんは語ります。

 保護当時は体重が130グラムほどしかなかったというムギちゃん。現在の体重は5キロを超え、骨格や筋肉も、タヌキらしくしっかりと成長しました。

「保護当初のムギは、哺乳瓶からミルクを飲ませるのにも細心の注意が必要でした。また、ひどい皮膚疾患に悩まされ、かゆみで眠れない日もありました。今でも影響は残っていますが、日常的なケアの継続で症状は比較的落ち着いており、毎日よく食べ、よく眠れるように。障がいを抱えながらも丈夫に育ってくれたことが、一番の成長だと感じています」

タヌキの安易な保護や飼育はやめて

 奥平さんのもとで育てられているほかの3匹は、いずれも親の育児放棄を理由に施設へ持ち込まれた個体なのだそう。それぞれが成長障がいなどの異なるハンディキャップを抱えています。たとえば、視覚障がい、骨格異常、皮膚疾患などがあり、日常的に医療的なサポートが欠かせません。

「タヌキは非常に繊細で、ときに人の気持ちを読んでいるかのような動きを見せることがあります。その一方で、とても臆病で、信頼を築くには長い時間と根気が必要です。だからこそ、心を許してくれたときのまなざしや温もりには、何にも代えがたい重みがあります」

 タヌキの飼育は鳥獣保護管理法によって制限されており、飼育目的での捕獲は原則禁止です。また、春はタヌキの赤ちゃんの誤認保護が増加しやすい季節です。人間が触れてしまうと、親が警戒して育児放棄する可能性もあるため、むやみに触らないよう注意しましょう。

 奥平さんは「かわいいという感情だけで飼育を考えることは、動物にも人にも大きな負担をもたらす可能性があることをご理解ください」と呼びかけています。

○取材協力:SCIENCE FACTORY ltd.@1996SF(@1996SF)さん

(Hint-Pot編集部)