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ヨーグルトを食べるのは空腹時と食中、食後いつが効果的? 栄養士に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

さっぱりとおいしいヨーグルト(写真はイメージ)【写真:写真AC】
さっぱりとおいしいヨーグルト(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 腸内環境を整えるために、毎日ヨーグルトを食べている方もいるでしょう。牛乳が主な原材料なため、栄養豊富でしかも低カロリー。ダイエット中の方にもうれしい発酵食品です。ただし、食べるタイミングによっては、成分の働きを十分に得られないこともあるそうです。いつ食べるのが効果的なのでしょうか。5月15日は「ヨーグルトの日」。記念日にちなみ、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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ヨーグルトを空腹時に食べるとデメリットがある?

 結論からいうと、ヨーグルトをおやつに食べてはいけないことはありません。ただし、空腹の際にヨーグルトを食べると、ビフィズス菌や乳酸菌などが胃酸の影響を受けて、生きたまま腸に届きにくくなると考えられています。そのため、腸内環境を整える菌のメリットをいただきたい場合は、空腹を感じているおやつタイムにヨーグルトを食べるのは避けたほうが良いでしょう。

 同様に、朝食の最初にヨーグルトを食べることもあまりおすすめできません。とくに胃が空っぽの朝は、胃酸がより強酸性だからです。善玉菌の働きを生かすには、まずほかのものを食べてからヨーグルトの順番に変えてください。一般的には、食中や食後に食べるのが良いとされています。

 しかし、ビフィズス菌や乳酸菌が死んでしまっても、腸内で善玉菌のエサになり、善玉菌を作る有効な働きが期待されているので、あまり神経質になる必要はありません。ヨーグルトに、善玉菌の増殖を助けるオリゴ糖を含むキウイやバナナ、食物繊維が豊富なアーモンドやクルミ、カシューナッツなどと合わせると効果的です。

 近年の研究では、ヨーグルトに含まれるたんぱく質や乳酸菌によってつくられる乳酸には血糖値の急上昇を抑える効果があることがわかってきました。エネルギーも低めなので、ダイエット中のおやつに取り入れるのはおすすめです。

 ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌は 、食べ物から摂取したらずっと腸に住みつくというものではありません。朝でも昼でも夜でも、継続的に食べられるように、習慣化し補充することが大切です。

骨の健康が気になる人は夜ヨーグルトもおすすめ

 骨の健康が気になる場合は、夕食時のヨーグルトが効果的といえます。一般的に、カルシウムは夜のほうが吸収率が高いといわれているのが理由です。人間の体は、生命を維持するために、血液中のカルシウムが不足すると、骨からカルシウムを溶かし出して補おうとします。

 日中はこの骨を「壊す」破骨細胞が活発になりますが、夜間の睡眠中は体の修復が進み、骨を「作る」骨芽細胞の働きが高まります。そのため、夕食時にカルシウムを含むヨーグルトを取り入れることで、骨の修復をサポートしやすくなると考えられているのです。

 また、カルシウムの吸収や骨への定着を助けるには、ビタミンDとビタミンKの摂取も意識するとより効果的です。たとえば、ビタミンDは魚類や干しシイタケ、キクラゲなどに、ビタミンKは納豆やワカメ、小松菜やブロッコリーなどに含まれています。こういった食材を使った夕食後に、デザートとしてヨーグルトを食べてみるのも良いでしょう。

 ただし夜といっても、寝る直前に食べるのはNGです。ヨーグルトに限らずどんな食品でもいえますが、消化が悪く胃腸に負担がかかり、太る原因にもなります。寝る2~3時間前までには食べ終えるようにしましょう。

 腸や骨の健康、そして毎日のリズムのために。適したタイミングで上手に取り入れてみてください。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾