仕事・人生
パチンコ店のアルバイトから店長を経てプロジェクト責任者に 40代女性の“逆境を気づきに変える”転換力
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忙しさのなかでつい忘れがちな、何かに夢中になる気持ち。そんな大人たちに、子どもの頃の遊び心を呼び覚ましてもらおうと、イベント開催などの責任者として奮闘する女性がいます。さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。今回は、パチンコ業界大手・株式会社マルハン東日本カンパニーのブランド戦略部・仲奈稚さんにお話を伺いました。第1回は、アルバイトから始まったご自身のキャリアと、そこから得た気づきについてです。
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子どもの頃の遊び心を呼び覚ますプロジェクトを指揮
仲さんは現在、同社の「ヲトナ基地プロジェクト」の責任者として、イベントなどの企画を手がけています。「ヲトナ」とは「何かに熱中し、毎日を熱狂的に生きる大人たち」を意味し、「ヲタク」と「大人」をかけ合わせた造語。子どもの頃のように、ワクワクした思いで夢中になれる何かに自分の時間を注ぎ、楽しむ「大人」たちを応援することが、プロジェクトの狙いだといいます。
なかでも、人の感情をかき立て刺激となる「脳汁」という俗語に着目。プロジェクトの一環として、今年の大型連休には、「脳汁ドリンク」なる4種類のドリンクを提供するイベントを開催しました。
「子ども時代、いろいろなジュースを混ぜて『これおいしい!』『これはちょっと……』とわいわい楽しみ、自然に創造力を育んでいた経験を多くの方がお持ちではないでしょうか。そんな子どもの頃の気持ちを思い出すきっかけになればと考えました」
イベントでは、同社ならではのパチンコに似たミニゲームも開催。等間隔に釘が打たれた盤面の上から玉を落とし、真ん中のポケットに入れば当たりというシンプルさに、夢中になって遊んでいた参加者の姿も。仲さん自身も、スタッフ用のつなぎや帽子を着用し、スタンドからドリンクを注いで提供するなど、一緒に楽しむ様子が印象的でした。
「アイデアって、自分の好きなことに没頭しているとき、楽しいとき、遊び心や雑談の中から生まれるものだと感じています。ヲトナ基地では、そんな時間を意識して作ることの大切さを、多くの大人に感じてもらいたいと思っています」
パチンコ店のアルバイトから社員へステップアップ
そもそも、仲さんがパチンコ業界大手の同社でキャリアをスタートさせたのは、22歳のとき。大学を中退し、フリーターとしてさまざまなアルバイトをして過ごしていた時期でした。気分転換に入ったパチンコ店でうっかりアイスをこぼしてしまったとき、スタッフの対応が丁寧だったことがきっかけだったといいます。
「当時、飲食業でアルバイトをしていた私自身が驚くほど的確な接客で、衝撃的でした。自分だったら、嫌な顔をしなかっただろうかと思ったほどです。その一件で、私の中でパチンコ店のイメージが変わりました。ぜひこの会社で働きたいと思って希望を出しました」
同社でアルバイトとして働くこと約5年。その後、社員の登用制度を活用し、2006年に入社しました。
「私が社員になることを決意したのは、学歴に関係なく、実力しだいで平等にチャンスを与えてくれる企業だと感じたからです。人としての成長や、スキルの習得ができる環境が整っているこの職場に、とても魅力を感じていました。そして、もっと全国の店舗を経験し、さまざまな現場で学びたいという思いが強くなり、社員にステップアップすることを選びました」
こうして、念願叶って社員になった仲さん。しかし、周囲と気まずい関係になったこともあったそうです。最初の“逆境”ともいえる苦い思い出を、次のように振り返ります。