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いまさら聞けない新ジャガイモと普通のジャガイモの違い 緑色の部分は食べても大丈夫? 栄養士に聞いた
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教えてくれた人:和漢 歩実

新ジャガイモがおいしい季節です。皮ごとふかしてジャガバターにしたり、甘辛く煮っころがしにしたり、さまざまなレシピで楽しめます。一方で、買い置きしていた新ジャガイモを調理しようとしたら、皮の一部が緑色に変色していた経験があるかもしれません。食べても問題ないのでしょうか。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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緑色の部分には天然毒素が含まれている
新ジャガイモの皮が緑色の部分は、食べないでください。皮の一部が緑色の場合、周りの皮も含めて厚めにむいて、取り除いてから調理すると良いでしょう。
ジャガイモの皮が緑色になる原因は、光にあります。日光だけでなく蛍光灯などの光にあたると、ソラニンやチャコニンといった天然毒素が生成され、ジャガイモの皮が緑色に変化するのです。これらを食べると、嘔吐や腹痛など、食中毒の原因になる可能性があります。ソラニンやチャコニンは、加熱しても水に浸しても分解されません。
とくに新ジャガイモは、皮が薄く光に反応しやすいため、緑色になりやすい傾向にあります。店で購入するときも、皮の色や傷の有無など、状態を確認したほうが良いでしょう。
保存する際は光の当たらない場所で
新ジャガイモを購入したら、光に当てないように保存するのが基本です。1個ずつキッチンペーパーに包んだり、紙袋に入れたりして、光が当たらず風通しの良い場所で保存しましょう。通常のジャガイモと比べて、新ジャガイモは水分が多く、あまり日持ちしないので、早めに食べ切るようにしてください。
調理する際、新ジャガイモの皮は、丁寧に水で洗いましょう。一見するとあまり汚れていないように見えますが、表面に土や汚れがたくさんついていることがあります。水を張ったボウルに新ジャガイモを入れて、イモ同士をこすり合わせるようにすると良いでしょう。途中、水を2~3回替えながら洗い、終わったら水分を取り除きます。清潔なたわしで、表面を軽くこすり洗いしても良いでしょう。
新ジャガイモはビタミンCが豊富
新ジャガイモと通常のジャガイモに、品種の違いはありません。春の収穫後すぐに出荷されるのが新ジャガイモ、しばらく貯蔵されてから出荷されるのが通常のジャガイモです。
栄養の特徴は、コラーゲン生成に欠かせないビタミンCが豊富な点です。ビタミンC量は、収穫してから時間の経過とともに減少しますが、すぐに出荷される新ジャガイモは、ビタミンCが多く含まれている状態で流通します。しかも、ジャガイモのビタミンCは、でんぷんに包まれているため、熱に強く損失が少ないのが特徴です。
このほか、食物繊維が水溶性、不溶性ともにバランス良く含まれています。不溶性は整腸作用で便秘の予防に、水溶性は血糖値やコレステロール上昇の抑制効果も期待できるでしょう。余分な水分や塩分を排出するため、むくみ予防のカリウムも豊富です。
皮が緑色にならないよう保存に気をつけながら、新ジャガイモの旬ならではの風味と栄養を楽しみましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾