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「誰かに求めてほしい」 女性用風俗のリアルをドラマ化 女性プロデューサーが描いたこだわり

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・鍬田 美穂

舞台となる女性用風俗店「パラディーソ」のメンバー【写真提供:「ジョフウ~女性に××××って必要ですか?~」製作委員会】
舞台となる女性用風俗店「パラディーソ」のメンバー【写真提供:「ジョフウ~女性に××××って必要ですか?~」製作委員会】

 昨今、話題になることが増えている女性用風俗。しかし、オープンに語られにくい面もあり、「よくわからないから、なんとなく怖い」と感じる人も多いでしょう。そうしたなか、女性用風俗店を舞台にしたドラマ「ジョフウ ~女性に××××って必要ですか?~」(以下、「ジョフウ」)が、現在放送中です。テレビ東京・プロデューサーの正井彩夏さんに、同作を企画した背景や作品に登場する女性用風俗店の実態について、お話を伺いました。

 ◇ ◇ ◇

「風俗だからという抵抗感も、作品にするハードルも感じていませんでした」

「じきに30歳、若くもなければ余裕もない。今の若い私の体を誰かに求めてほしい」

 第1話に登場し、初めて女性用風俗店を利用するナナ(金井美樹さん)のモノローグ。恋人も、家に遊びに来る人もいないと嘆く、どこにでもいそうな普通の女性会社員です。

 ヤチナツ著「真・女性に風俗って必要ですか?~女性用風俗店の裏方やったら人生いろいろ変わった件~」(新潮社バンチコミックス刊)が原作のドラマ「ジョフウ」は、女性用風俗のリアルな世界を描いています。

 ただ、知らない人がイメージするような、いかがわしさや過激なシーンはありません。ドラマでも「本番は法律違反だから」と説明しているように、実際の女性用風俗店で提供するのは、性感エステの施術。スタッフはセラピストと呼ばれます。

 そうした実態は、ひょんなことから女性用風俗店「パラディーソ」の内勤の仕事をすることになった主人公・藤崎アカリ(山崎紘菜さん)が、仕事を覚えていく過程で自然とわかる展開。そして、高いプロ意識を持つセラピストたち、悩みの解消や癒やしを求める利用者たちの心の動きが丁寧に描かれています。

テレビ東京の正井彩夏プロデューサー【写真提供:テレビ東京】
テレビ東京の正井彩夏プロデューサー【写真提供:テレビ東京】

「このドラマを通して、女性用風俗を推奨したいわけではなく、こんなサービスがあって、こんな人たちがいるんだと、もしも悩むことがあれば、選択肢のひとつになればという思いでいます。もちろん、すべてが『パラディーソ』のようなお店であってほしいのですが、トラブルや怖い経験をした女性もいるので、利用するときは『パラディーソ』のような素敵なお店を見つけてほしいですね」

 そう話す正井さんは数年前、個人的に原作コミックを読み、おもしろいと感じていたとのこと。1年半ほど前にドラマ化をすすめてくれた人がいて、躊躇なく企画を進めたといいます。

「今思えば、若気の至りですね(笑)。おもしろい作品ができそうという直感で、風俗だからという抵抗感も、作品にするハードルも全然感じていませんでした」

 実は社内では、「来世ではちゃんとします」シリーズや「初恋、ざらり」などを手がけた名プロデューサー・祖父江里奈さんが同じ原作を提案したことがあったそう。しかし、女性用風俗の認知が広がってきたことで「企画自体は割とすんなり通りました」と、正井さんは振り返ります。

 それでも「内容が内容だけに」実写ドラマ化には、さまざまな調整が必要に。映画「おんなのこきらい」の加藤綾佳監督に「初恋、ざらり」の倉橋龍介監督や制作会社など、実績のあるスタッフたちと、約1年かけて準備を進めました。