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日本とのルールの違いに仰天 海外でのバス旅 元添乗員が困り果てた「海外バスの常識」とは
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トイレはほぼインテリア あっても使えない

次にお伝えするのは、「バスにトイレがあっても使えない」ことです。日本の観光バスでトイレ付きの場合、積極的に「使ってください」と案内されることはなくても、使えないことはあまりないかと思います。しかし、海外のツアーバスでは「使わないように」と言われ、使えないことがほとんどでした。
その理由は、ツアーでは同じバスをずっと使い、その間の車内清掃をするのがドライバーさんだから。使用後の処理がある以上、「なるべく使わないでほしい」というのが本音なのだと思います。

ただ、日本は高速道路沿いでも街中でも、比較的どこにでもトイレがあって便利ですが、海外はとにかくトイレ事情が悪いです。そのため、緊急時には本当に一大事。かつて、ベルギーのドライバーさんが緊急時にバス内のトイレを使わせてくれた際は、本当に助かりました。
一方、海外でも、アメリカ現地発着ツアーの長距離バスなどは車内トイレの使用が前提のケースもあり、国によって違います。バス旅の準備として、「トイレ事情」はかなり重要なチェック項目なのです。
厳しい労働時間ルールとの闘い

添乗員として最も頭を悩まされたのが、ドライバーさんの労働ルールです。最近では日本でもかなり厳しくなっていますが、ヨーロッパは格別。「前日までに何日間、かつ何時間運転したら、何分休憩を取らなければならない」というルールが細かく定められており、それがドライバーさんの状況によってまちまちなのです。
もちろん、これは安全のために一番大事なことで、何もなければまったく問題ありません。ただし、たとえば空港での手続きに相当な時間がかかって2時間以上出発が遅れた、渋滞で立往生したといったイレギュラーな事態になったときが大変。いかなる理由があっても、ドライバーさんの拘束時間に猶予はありません。そのため、調整が必要になります。
何もない小さなサービスエリアであっても、規定の45分間は絶対に休まなければいけません。しかし、我々としては「入場予約の時間はかなり過ぎてるから、一刻も早く到着したい!」「あと30分で観光地に着くのに!」というのが本音。どうにもならないルールとお客様の思いとの狭間で、立場上、もどかしさとの闘いは多々ありました。さらに、ドライバーさんから「拘束時間が長すぎて、もうこれ以上は走れない(エンジンをかけられない)」と言われ、別のバスを手配し、代替せざるを得ないこともありました。
現地のさまざまな事情やルールはあれど、それらも含めていかに楽しんでもらえるかが、添乗員としての大きな役割のひとつだと思っていました。今も、自分が旅をするときは「『郷に入っては郷に従え』を忘れず楽しむ」をモットーにしています。
(Ana)
