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殺虫剤には正しい使い方がある 引火や爆発の危険も やってはいけない行為7つをプロが伝授
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教えてくれた人:伊藤 まき

短時間で効果があり、害虫の駆除に役立つ殺虫剤。プッシュするだけでOKなものや、置いておくだけで効果があるものなど、さまざまなタイプが販売されています。適切に使用すれば便利ですが、使い方を誤ると害になってしまうことも。注意すべき点を、清掃のプロとして活躍した経験を持つ、整理収納アドバイザーの伊藤まきさんにお聞きしました。
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食器や調理器具に直接かけるのはNG
「殺虫剤を購入したら、裏面の注意書きを必ず全部読みましょう!」と伊藤さん。殺虫剤は、虫を駆除するための化学物質を使用しているものが多く、使い方を誤ると深刻な中毒症状や、呼吸困難になってしまうおそれもあります。
殺虫剤を使用する基本として、7つのNG行為に気をつけましょう。
1. 換気をせずに使用するのはNG
密閉された空間で殺虫剤を使用すると、有効成分が空気中に充満し、それを吸い込むことで人体に悪影響が出る可能性があります。とくに、スプレータイプの殺虫剤は粒子が細かく、吸い込みやすいため注意が必要です。使用する際は、窓やドアを開けて十分に換気を行い、使用後もしばらく換気を続けましょう。換気扇がある場合は、併用するとより効果的です。
2. 食品や食器、調理器具に直接かけるのはNG
食品や食器、調理器具に直接かかると、有効成分が残留する可能性があり、誤って口に入ってしまう危険性があります。こうしたものに害虫が付着している場合は、殺虫剤を使用するのではなく、丁寧に洗い流すか、熱湯消毒をするなど別の方法を検討しましょう。もし誤ってかかってしまった場合は、念入りに水洗いしてください。
3. ペットや子どもがいる空間で使用するのはNG
ペットや子どもは大人よりも体が小さく、殺虫剤の影響を受けやすい傾向があります。また、床に近い場所で行動することが多いため、残留した薬剤に触れてしまう可能性も。ペットや子どもがいる空間で殺虫剤を使用する場合は、事前に安全な場所へ移動させてください。使用後も時間をかけて十分に換気を行い、薬剤が完全に乾き、影響がなくなるまで近づけないように注意しましょう。とくに、犬や猫は床を舐める習性があるため、注意が必要です。
4. 火気の近くで使用するのはNG
多くの殺虫剤には、可燃性の成分が含まれています。火気の近くで使用すると引火や爆発の危険性があり、大変危険です。ストーブやガスコンロなど、火気のある場所や高温になる場所での使用は、絶対に避けましょう。また、使用直後は空気中に可燃性のガスが滞留している可能性もあるため、換気が終わるまでは火気を近づけないようにしてください。
5. 必要量以上を大量に噴霧するのはNG
殺虫効果を高めようとして、必要以上に大量の殺虫剤を噴霧するのは危険です。空気中の有効成分濃度が高まり、人体への影響が懸念されます。また、床や壁に薬剤が大量に付着し、ペットや子どもが触れたり、誤って口にしたりするリスクも高まります。使用する際は、製品に記載されている使用量を守り、必要最小限の噴霧に留めましょう。
6. 顔や目、皮膚に直接かけるのはNG
殺虫剤が直接、顔や目、皮膚に触れると、炎症や刺激を引き起こす可能性があります。とくに目に入った場合は、失明などの重大な障害につながるおそれも。スプレータイプの殺虫剤を使用する際は風向きに注意し、保護メガネやマスク、手袋などを着用するなど、直接触れないように十分注意しましょう。万が一、目や皮膚に付着したら、すぐに大量の水で洗い流し、異常を感じた場合は医師の診察を受けてください。
7. ほかの薬剤と混ぜて使用するのはNG
殺虫剤とほかの薬剤(漂白剤、洗剤、他の種類の殺虫剤など)を混ぜて使用すると、予期せぬ化学反応が起こり、有毒なガスが発生したり、効果が低下したりする可能性があります。非常に危険な行為なので、絶対にやめましょう。異なる種類の殺虫剤を使用する場合は、時間をおいて別々に使用するようにしてください。
これらのNG行為をしっかりと理解し、安全に殺虫剤を使用しましょう。
また、防虫剤は開封後、なるべく早めに使用することが推奨されます。メーカーによっては、開封後半年を目安に使い切るよう推奨している場合もあります。
これを過ぎて放置している家も多く見ますが、漏れるなどすると大変危険なので、消費期限は守るようにしましょう。廃棄する際は自治体の規則を守り、適切に処理してください。
(和栗 恵)
伊藤 まき(いとう・まき)
整理収納アドバイザー1級、クリンネスト2級。ホテル清掃員や国鉄系レストランの厨房、内装会社、デパートの搬入搬出などで経験を積み、出版社に入社したのち独立。掃除しながら片づける「整理収納のプロフェッショナル」として各種ウェブメディアで記事を手がけ、掃除本の編集ライターとしても活躍中。
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