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エアコン代節約のための室外機対策 アルミ製カバーをプロが「おすすめしない」理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:伊藤 まき

劣化したエアコンの室外機にかけるアルミ製のカバー【写真:伊藤まき】
劣化したエアコンの室外機にかけるアルミ製のカバー【写真:伊藤まき】

 冷房効率を高めるため、そして節電対策をするために有効とされているのが、エアコン室外機を覆うことで温度の上昇を防ぐカバーです。ホームセンターや100円ショップなどで、さまざまな素材を使ったカバーが売られていますが、コストパフォーマンスや手軽さから人気を集めているのが、アルミフィルムが張られたもの。しかし、清掃のプロとして活躍した経験を持つ整理収納アドバイザーの伊藤まきさんは、「おすすめしません」といいます。その理由をお聞きしました。

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昔ながらの知恵が室外機対策にも有効

 最高気温35度以上の猛暑日になる日が珍しくないなど、いまやエアコンは欠かせない家電となりました。室内の温度を効率良く下げ、節電をするために、エアコンの室外機にカバーをかけるなど、対策をしている人は多いでしょう。

「室外機に夏の直射日光が当たると熱がこもります。エアコンは室内の熱を、室外機を通して外に排出し、熱を取った涼しい空気を室内に運ぶ仕組みなので、室外機の温度が高いと効率が落ち、より多くの電力が必要になります。そのため室外機カバーで直射日光を遮ることで、室外機の温度上昇を抑え、冷房効率を高めて節電につながります」

 また、こうしたカバーは、直射日光だけでなく、雨や風、ほこりなどから室外機を守り、劣化を防ぐ効果もあります。積雪が多い地域では、室外機に雪が入り込んだり、吹き出し口が塞がったりするのを防いでくれるので、暖房効率の低下や故障のリスクも軽減できます。

 カバーのデザインによっては、室外機の無機質な見た目を隠し、庭やベランダの景観を良くすることができる点もメリットです。しかし、製品によっては熱交換を妨げる要因となるので、「各メーカーが発売している純正部材を使用すると安心です」と伊藤さんはいいます。

昔ながらの「よしず」がおすすめ

 頑丈な室外機カバーは、設置費用が高額になりがちなので、簡単かつ手軽に購入することができる、アルミ製カバーを使う家庭が増えています。しかし、伊藤さんはアルミ製のカバーはあまりおすすめしないそう。

「アルミフィルムは日に当たる場所ではとくに劣化しやすく、1シーズンでポロポロとフィルムがはがれ落ちてくることがあります。こうして落ちたフィルムが、風にあおられて散らばってしまうと、屋根やベランダ、雨どいなどに張り付いてはがれなくなってしまうことも。ご近所に迷惑をかけてしまう可能性もあるでしょう」

「よしず」も経年劣化するものの、天然素材で安心(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
「よしず」も経年劣化するものの、天然素材で安心(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 では、設置のしやすさなど、多角的に考えて何がおすすめかというと、日本で古くから使われてきた「よしず」が良いとのこと。よしずなら室外機だけではなく、室外機を置いている壁一面を覆うことができるので、部屋そのものの温度上昇も防げます。

「よしずは2~3年ほどで経年劣化しますが、天然素材なので安心して使えますよ」と伊藤さん。暑い夏を涼しく乗り越えるためにも、本格的に暑くなる前に準備をしておきたいですね。

(和栗 恵)

伊藤 まき(いとう・まき)

整理収納アドバイザー1級、クリンネスト2級。ホテル清掃員や国鉄系レストランの厨房、内装会社、デパートの搬入搬出などで経験を積み、出版社に入社したのち独立。掃除しながら片づける「整理収納のプロフェッショナル」として各種ウェブメディアで記事を手がけ、掃除本の編集ライターとしても活躍中。
インスタグラム:maki_organize