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からだ・美容

体が熱くて乾くのは夏のせいだけじゃない? 更年期の「ほてり」や「乾き」 体を優しく整える工夫とは

公開日:  /  更新日:

著者:かみむら 佳子

更年期世代が悩みがちな時期(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
更年期世代が悩みがちな時期(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 クーラーをつけているのに寝汗をかく、肌やのどが乾く――そんな、内側からのほてりや乾きを感じることはありませんか? 蒸し暑さとは違う体の熱感や乾燥は、更年期世代に多くみられる不調のひとつです。更年期の女性の元気をサポートする、国際中医薬膳師のかみむら佳子さんによる連載。今回は、体の内側からゆっくり整えるための、食の工夫をご紹介します。

 ◇ ◇ ◇

更年期に増えがちな体の内側の熱と乾き

 蒸し暑い時期なのに、なぜか体の中がカラカラと乾いて、熱を持っているような感覚――中医学では、こうした状態を「陰虚(いんきょ)」と呼びます。とくに更年期は、女性ホルモンの変化によって「潤い」や「血」が不足しやすく、内側に熱がこもるような不調が現れやすくなります。

「陰虚」という言葉は聞き慣れないかもしれませんが、次のような不調のサインを指します。思い当たる更年期世代の人も、多いのではないでしょうか。

○「陰虚」のサイン
・顔が赤くなる、のぼせやすい
・夕方~夜にほてる、寝汗
・肌、髪、のど、目が乾く
・浅い眠り、夢が多い
・手足のほてり(特に手のひら、足裏)
・イライラ、疲れやすい
・足がつりやすい

 中医学において、体は「陰」と「陽」のバランスで成り立つと考えています。「陰」は血液、体液、ホルモンなどの潤い成分を指し、熱を冷まして心身を落ち着かせる働きがあります。更年期になると、女性ホルモンが減少して「陰」が不足。相対的に「陽」が強くなることで、体の内側に熱がこもりやすくなります。これが「陰虚」によるほてりや乾燥、不調の根源です。

「陰虚」には、せいろ蒸しの調理法がおすすめ

 年齢とともに体の潤いが自然と不足していくのは、ある程度仕方がないのですが、「なんとか抗いたい」と思うもの。そんなときにおすすめなのが、せいろ蒸しです。手軽に調理できるので時短につながり、油も使わないのでヘルシーだと今、注目されています。中医学の視点から見ても、「陰虚」体質のケアにぴったりの調理法です。

「陰虚」の人は、体を潤す「津液(水分)」も不足しがちと考えられています。パンや焼き菓子のような“乾いたもの”を食べると、唾液が奪われるような感覚になることはありませんか? これは水分不足のサインのひとつで、「陰虚」をたとえると、体がそのような状態にあります。

「津液」が減ると、内臓をスムーズに動かす“潤滑油”が足りなくなり、胃腸の働きも落ちやすくなります。油っこい料理や辛いもののような“消化に負担のかかるもの”は、食後に胃もたれしやすく、体内に熱をこもらせて、潤いをさらに奪ってしまうのです。

 そこで、食材の水分を残しながら調理できるせいろ蒸しをおすすめします。蒸した食材はしっとりとやわらかく、消化しやすいので、体への負担なく食材の力を取り込めるでしょう。潤いが不足する「陰虚」体質は、ぜひ取り入れてほしい調理法です。