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「私って、こんな嫌な性格だったんだ」 妊活中に起こるドロドロした気持ちと上手につきあう方法
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教えてくれた人:今井 さいこ

妊活中に周囲の妊娠や出産を素直に喜べず、つい嫉妬してしまったりするなど、ネガティブな感情になる自分自身に戸惑った経験はありませんか。心の奥から湧いてくるドロドロした気持ちに振り回されて、自分を責めてしまうこともあるかもしれません。そんなとき、どのように自分の心と向き合っていけば良いのでしょうか。公認心理師の今井さいこさんに伺いました。
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ドロドロとしたネガティブな感情の正体とは…?
妊活中、なかなか妊娠に至らない不安や焦り、プレッシャーを日々感じている人もいらっしゃると思います。そうしたつらい感情を受け止めることが難しいとき、自分の心のバランスを取るために、嫉妬などのネガティブな感情が表に出てくることがあります。
妬ましいような、怒りに近いようなドロドロとした気持ちは、心理学で「防衛機制」と呼ばれ、自分の心を守るための無意識な働きのひとつと考えられています。これは性格の問題ではなく、つらさや不安を抱えているからこそ、自分自身を守ろうとしている心の働きなのです。
誰にでも起こり得る「防衛機制」
結論から言うと、「防衛機制」は誰にでも起こり得る反応です。ドロドロしたネガティブ感情を持つのは自分だけと思いがちですが、妊活に限らずストレス過多の状態に陥ると、誰もが持つ可能性のある感情なのです。ネガティブな感情が大きければ大きいほど、それは今、あなたが抱えているショックやストレスが大きいことの表れだと言えます。
とくに妊活中は、今まで感じたこともないようなネガティブな感情に支配され「私って、こんな嫌な性格だったんだ」などと自己嫌悪に陥ることもあるでしょう。しかし見方を変えると、ネガティブな感情を働かせなければ、自分を保っていられないほどのストレスを抱えている状態だと言えるのです。
「私は今、これだけの焦燥感や不安感があるんだ」と自分自身を客観視することや、ストレスケアが必要なタイミングを知ることに役立ててほしいと思います。「防衛機制」が働いていることを客観的に認識し、今の感情や状態を受け止めていきましょう。
「セルフ・コンパッション」で自分をいたわろう
ネガティブな感情に気づくと、多くの人が「早く手放したい」と考えます。「抱えてはいけない感情」と思ってしまうからです。でも、そうすると「そんな感情を持つ自分は良くない」と、自己否定することにもつながってしまいます。「ネガティブな感情もまずは受け入れる」ことが大切です。
参考になる考え方として「セルフ・コンパッション」についてお伝えしましょう。セルフは「自分」、コンパッションは「思いやり」を意味します。自分自身をいたわる習慣を持とうというものです。
妊活は、自分とパートナーの体のことであるにもかかわらず、コントロールできないことが多くあります。努力が必ずしも結果(=妊娠)につながるものではないため、ネガティブな感情に振り回されることも多いものです。自分をいたわることを習慣化できれば、自分自身で心を安定させることができるようになります。