妊活中は体だけでなく、精神的にも負担が大きくなります。「こんなに頑張っているのに結果が出ない」とか「自分には価値がないように感じる」など、自分を責めるような思いにとらわれてしまうことがあるかもしれません。日々、期待と落胆、選択や決定を繰り返すうちに頭の中がぐちゃぐちゃし、気づかぬ間にストレスが溜まっていくこともあるでしょう。気持ちをどう整理して、前向きな自分を取り戻していけば良いでしょうか。公認心理師の今井さいこさんに伺いました。

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妊活中のストレスには通常と違う特徴がある

　さまざまなカウンセリング現場での経験から感じるのは、妊活中のストレスには、通常のストレスと少し違った特徴があるということ。とくに目立つのは、自分を責めてしまう傾向が強い点です。

　たとえば「頑張っているのに妊娠できないのは、私の性格や行動のせいだ」とか「妊娠できない自分には価値がないように感じてしまう」など、結果が出ないことを自分のせいと受け止めてしまう人が多くいらっしゃいます。妊活では、妊娠に至らないとこのような状態がずっと続くことになるので、自己肯定感が下がり、心のエネルギーも消耗しやすくなってしまいます。

　メンタル面の状態やストレスとの向き合い方、物事のとらえ方や考え方は人それぞれですが、妊活中は期待と落胆を繰り返す日々の中で、気づかないうちにストレスが溜まっていくことも少なくありません。また、治療に関しても決断の連続で、頭の中が整理できず「ぐちゃぐちゃした感じ」から抜け出せないという声もよく聞きます。

大切なのは自分の気持ちにフタをしないこと

　まず大切なのは「自分は今、どんな感情を持っているのだろうか」と、自分の気持ちに気づくことです。不安や焦り、悲しさなどネガティブな感情があるのに、何も感じないよう心にフタをしないことが大切。フタをすることは結局、ストレスを溜め続けることにつながります。

「今、こういうふうに感じているんだな」とか「こんなことにストレスを感じているんだ」と、まずはその感情に気づいて、ありのままを受け止めてあげることが第一歩として重要です。自分を否定せずに認めることで、気持ちを少しずつ整理できます。