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からだ・美容

妊活中に起こりがちな「自分を責める思い」 気持ちを整理してストレスを軽くするセルフケアとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:今井 さいこ

ジャーナリングで気持ちを整理する

 ありのままの感情を受け止める方法のひとつに「ジャーナリング」があります。ジャーナリングとは、頭の中にある思いや感情を紙に書き出し、気持ちを整理するセルフケアの手法です。やり方はとてもシンプル。次のようなステップで進めていきます。

○ジャーナリングの基本ステップ
1. 書き出し用のノートとペンを用意する
2. 一日の終わりや、気持ちが揺れ動いた出来事のあとに、自分の感情を自由に書き出す
3. あとから読み返し、自分の気持ちやストレスの内容を客観的にとらえる

 書き出す時間がない場合は、記録できるアプリなど、デジタルツールを活用してもかまいません。しかし、できれば「紙に手で書く」という行為をしていただきたいと思います。紙に書くことは脳の活性化、自己認識の向上、感情の整理に役立つといわれています。また、紙に書き出したものを読み返すことで、客観的に自分の気持ちをとらえることができるでしょう。

 書き方のポイントは、時間を決めて、その時間内で頭に思い浮かぶすべてを書き出すことです。「妊娠しないことがストレス」などとざっくり書くのではなく、「妊娠しないことがストレスなのかな。なんでだろう? あー、パートナーとの温度差があるからだな。それってすっごいストレス!」などのように、思い浮かぶことを話し言葉で次々と書いていきましょう。「書くことが思い浮かばないな」と思ったら、そのこともそのまま記録します。

 書き出す時間について、初めは5分くらいを目安に取り組み、慣れてきたら少しずつ延ばしていきましょう。その時間は集中できるよう、音楽などを消します。また、正しい文章やきれいな文字で書く必要はありません。時間になったらいったんペンを置き、書いたものを読んでみてください。

 そのとき「こんなふうに思う私が悪い」などと評価せず、ただ書いたものを読みます。最後まで読んだら「と、私は思っている」と書き足してください。どんな内容のことが書かれていたとしても「これが今の自分の感情なんだな」と、認めることが大切です。

書いた内容を3つに分けて、自分ができることを見つける

 そして、自分が書いた内容を次の3つに分けてみてください。

・自分でコントロールできるもの
・他者が動かないと解決できないもの
・時間が解決するもの

 なかでも「自分でコントロールできるもの」に目を向けていくことがポイントです。たとえば「SNSで他人の投稿を見ると焦る」のであれば、SNSを見る頻度を減らすことが「自分でコントロールできるもの」に該当します。まずは自分ができることを見つけて、少しずつ行動に移してみましょう。

 さらに「他者が動かないと解決できないもの」や「時間が解決するもの」からも、「自分でコントロールできるもの」を見つけていきます。たとえば「パートナーが協力的でないのがつらい」と感じることは、一見「他者が変わらないと解決しないこと」に思えるかもしれません。しかし、まずは自分の気持ちを伝えてみることが、自分でできることのひとつです。また、「治療結果が出るまでの不安感」は「時間が解決するもの」ですが、その間に食生活や睡眠を整えてみることは、自分自身が取り組めることです。

 感情の改善につながる「自分でコントロールできるもの」に、ぜひ着目してください。できることをひとつでも行動に移せると「できた!」「結果を出せた!」と自信がつき、自尊心や自己肯定感の回復につながっていきます。ストレス軽減にも役立つでしょう。今の気持ちを書き出すジャーナリングを、日々のセルフケアとして取り入れてみてください。

【参考】
“Neuroscience and Literacy: An Integrative View.” 2021-04-06.
“The Neuroscience Behind Writing: Handwriting vs. Typing?Who Wins the Battle?”Life,2025-02-22.
“Writing through the Lens of Anthropology and Neurosciences” American Journal of Neurology Research,2024-06-30.

(Hint-Pot編集部)

今井 さいこ(いまい・さいこ)

公認心理師、睡眠指導者、不妊症・不育症ピアサポーター。心理学と睡眠マネジメントの知識を生かし、企業の従業員カウンセリングや研修、メンタルヘルス施策サポートなど幅広く活動。自らの妊活・不妊治療経験を踏まえ、妊活中の女性やカップルの悩みに寄り添うカウンセリングにも定評がある。オンラインカウンセリングラボ「LIB Laboratory」代表。