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妊活中は何時に寝れば良い? 睡眠に関する素朴な疑問を専門家が解説
公開日: / 更新日:
教えてくれた人:今井 さいこ
「量」にあたる睡眠時間はどれくらいが適切?
「量」にあたる睡眠時間はどれくらいが適切なのか、悩みますよね。一般的には7~9時間が望ましいとされていますが、体質や年齢などによって個人差があるため、これが絶対というものではありません。
朝にすっきりと目が覚め、その後も活発に活動できていれば、睡眠時間に関係なく、十分な睡眠が取れているといえます。起床して4時間以内に眠気を感じる場合は、睡眠時間が足りていない、あるいは質が低下しているサインかもしれません。
もし、ライフスタイルの都合で長時間の睡眠を取れない場合は、睡眠の「質」を高めることを心がけてみましょう。短時間睡眠になってしまう日に「あまり寝られないからダメだ」と諦めるのではなく、確保した時間でいかに質の高い睡眠にするかを意識していくことが重要です。
眠り始めの3時間で決まる「良い睡眠の質」
「質」の良い睡眠とは、眠り始めの3時間で深い眠りをきちんと得られていることを指します。睡眠は、脳が休息をするノンレム睡眠(深い睡眠)と、体が休息をするレム睡眠(浅い睡眠)の2つのステージに分けられ、一晩に3~5回、ノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返します。
入眠後から3時間以内に現れるノンレム睡眠は、一晩のなかで最も深いレベルのノンレム睡眠です。このときに分泌される成長ホルモンは、傷の修復や代謝促進、抗酸化作用などの働きがあります。
この深い睡眠を得られていれば、限られた時間であても睡眠を確保できたといえるので、前述の「量」と関係しますが、最低でも3時間は寝るように意識しましょう。
眠りのルーティンで良質な睡眠を
妊活中は、何かと緊張状態にあることが多いもの。治療中の人であれば、うまくいくかどうか不安に思ったり、注射などの痛みが苦手でストレスを感じたりするなど、心身ともに緊張状態にあるかもしれません。
良い睡眠のためには、こうした緊張状態を解いて、リラックスさせていくことが大切です。緊張状態だと交感神経が優位で、体も活動モードに入っています。そこで、副交感神経を優位にしてリラックスモードに入っていけるよう、意識的に切り替えていきましょう。
そのためには、ご自身がリラックスできる方法を見つけて、眠りのルーティンとすることがおすすめです。毎日寝る前に行うことで、自然と入眠スイッチが入りやすくなります。
たとえば、入眠前にアロマセラピーを取り入れたり、音楽を聴いたり、軽いストレッチや深呼吸をしたりするなど、続けやすいことを取り入れてみましょう。または、カップルで互いに足裏マッサージをするなど、スキンシップをとることもリラックスの一環になります。まずは、できそうなことを1つ決めて取り組んでみてください。
睡眠は、妊活中の心と体を整える大切な時間です。時間の長さだけでなく「質」にも目を向け、自分にとって心地良い眠りを追求してみてください。良い睡眠習慣は一生ものです。できることから少しずつ取り入れ、無理のないペースで実践しましょう。
(Hint-Pot編集部)
今井 さいこ(いまい・さいこ)
公認心理師、睡眠指導者、不妊症・不育症ピアサポーター。心理学と睡眠マネジメントの知識を生かし、企業の従業員カウンセリングや研修、メンタルヘルス施策サポートなど幅広く活動。自らの妊活・不妊治療経験を踏まえ、妊活中の女性やカップルの悩みに寄り添うカウンセリングにも定評がある。オンラインカウンセリングラボ「LIB Laboratory」代表。