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「ウナギと梅干し」は食べ合わせが悪い? 「キュウリとトマト」や「ナスとそば」も…組み合わせがNGといわれる理由とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

ナスとそばの食べ合わせ

 ナスとそばが昔から良くない組み合わせといわれているのは、ナスもそばも「体を冷やす食べ物」と考えられてきたため。ナスは、ほとんどが水分です。また、そばはざるそばや盛りそばなど、暑い季節に冷たい状態で食べることが多いもの。一緒に食べると胃腸が冷えて、消化不良につながると考えられたのでしょう。

 しかし、現代の栄養学で考えれば、そばもナスも健康的な成分が含まれており、適量であれば一緒に食べて問題ありません。ナスのナスニンやクロロゲン酸には抗酸化作用があり、生活習慣病の予防が期待できます。高血圧やむくみ予防に役立つカリウムも多いです。そばには、血管を強くするルチンや、エネルギー代謝を促し、疲労回復も期待できるビタミンB群などが多く含まれています。

 消化不良の観点からいえば、よく噛んで食べることを心がけてください。そばは白米や小麦に比べて食物繊維が多いため、消化に時間がかかり、よく噛まないと胃腸に負担がかかる可能性があります。

ウナギと梅干しの食べ合わせ

 栄養的な観点からいうと、ウナギと梅干しを一緒に食べても、相性が悪いことはありません。古くから伝わる通説ですが、その背景には2つのことが考えられます。

 ひとつは、食材の保存環境。昔は冷蔵庫がなく食材の保存環境が悪かったため、ウナギが腐敗して酸味が出ていても、酸っぱい梅干しと一緒に食べると気づかないので、一緒に食べないほうが良いといわれるようになったというものです。

 もうひとつは、梅干しの食欲を促進させる働きです。梅干しの酸味で口の中がさっぱりとするので、脂っぽいものでもつい食が進みます。体のことを考えて食べすぎを防ぐために、または高価なウナギを多食しないように、そのような通説が生まれたのかもしれません。

 梅干しのクエン酸は、疲労回復効果のほか、抗菌作用によって食中毒の予防に役立ちます。また、消化酵素の分泌を高めるため、夏に弱った胃腸の消化吸収を助ける働きも期待できるでしょう。ウナギは、たんぱく質や脂質のほか、疲労回復に役立つビタミンB1、発育促進に役立つビタミンB2などを多く含みます。暑さでバテぎみな、夏の食べ物に適した組み合わせです。

 食べ物の通説は、体を冷やしすぎたり、胃腸に負担がかかったりしないよう、食べすぎへの注意喚起として「一緒に食べてはいけない」と言い継がれてきたのかもしれません。適量をよく噛んで、おいしく食べましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾