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からだ・美容

「妊娠しにくいかも」と感じたら…不妊症の医療施設はいつ行くべき? 専門家に聞いた

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:小松原 千暁

不妊症の基本検査では、どんなことを行う?

 実施する検査項目は医療施設によって異なりますが、主な検査やわかることは次の通りです。

○経膣超音波検査
 膣内に器具を入れ、超音波(エコー)によって映し出される画像を観察し、子宮や卵巣の状態を確認する検査です。子宮の大きさや形、子宮内膜の状態、筋腫やポリープ、卵巣嚢腫(のうしゅ)の有無など、妊娠しづらい原因があるかどうかを調べます。また、排卵に向かって、卵子の入っている卵胞が大きく育っているかの確認もできます。

○血液検査
 月経周期に応じて採血し、妊娠に関する各ホルモンの分泌量を調べることで、子宮や卵巣の機能不全や排卵障害などがわかります。月経中に行う採血では、卵胞刺激ホルモン(FSH)、黄体化ホルモン(LH)、卵胞ホルモン(E2)の値から卵巣機能を、排卵1週間後に行う採血では、黄体ホルモン(P4)の値から黄体機能を調べます。また、卵巣にどれくらいの卵子が残っているかを知るためのAMH(抗ミュラー管ホルモン)の値を調べ、治療内容や時期を決める参考にします。その他、着床時に必要なビタミンDの状態、胎児の発育に重要な役割をする甲状腺ホルモンの状態、感染症の有無も分かります。

○子宮卵管造影検査
 子宮の形状や卵管が通っているかどうかを調べる検査です。月経終了後から排卵日までの間に行います。子宮の入り口からバルーンカテーテルと呼ばれる細い管を入れて、子宮内で膨らませて造影剤を入れます。子宮から卵管を通って腹腔内へと造影剤が広がっていく様子を観察し、子宮の内側の形や卵管が狭くなったり詰まったりしていないかなど、レントゲン撮影をしていきます。所要時間は5~6分です。

○フーナーテスト
 女性の頚管粘液と男性の精子の適合性を調べる検査です。排卵日近くに性交渉し、6~10時間以内に医療施設へ行って、子宮の入り口となる子宮頚部から粘液(頚管粘液)を採取します。粘液の中で泳いでいる精子がどれくらい存在し、前進する力があるのかを調べて適合性をみるものです。射精された精子が、子宮頸管を通って子宮までたどり着いているかどうかを調べます。女性の血液から抗精子抗体の有無を調べる場合には、フーナーテストをしない場合もあります。

検査目的や内容、回数などによって自費になることも

 不妊症の検査目的や内容、検査回数などによって、保険診療ではなく自費になることもあります。費用については、受診する医療施設に確認してみましょう。検査費用の一部助成を行っている自治体もありますので、お住まいの市役所等へお問い合わせください。

 妊活の道のりはカップルによってさまざまですが、検査によって今の状態を知ることは大きな安心や前進につながるはずです。不安を感じたら、「自分たちだけかも」と抱え込んだり、先延ばししたりせず、まずは一歩を踏み出してみましょう。

(Hint-Pot編集部)

小松原 千暁(こまつばら・ちあき)

不妊症看護認定看護師、生殖医療コーディネーター、妊活支援ナース育成コーチ、日本生殖看護学会理事。不妊治療の専門クリニックに約20年間勤務した経験より、日本の性教育に妊娠する力の妊孕性(にんようせい)に関する情報が少ないことを実感。現在は生殖医療の看護師を指導する一方で、不妊治療を受ける患者さんや若い世代に向けて、自ら選択できるように妊活の正しい知識を広める活動を行う。妊活についての情報サイト「妊活の歩み方」でお役立ち情報を発信中。