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認知症の父が入院 家族がリアルに直面した費用 介護するアラフィフ娘の実録
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2025年には、65歳以上の認知症患者数が700万人を超える――厚生労働省は、そんな恐ろしい試算を発表。今や日本では、認知症の介護というのは誰にでも襲いかかってくるもので、決して他人ごとではありません。同時に襲ってくるのは、介護にかかる費用負担。2年前に70代前半で認知症を発症した父に寄り添う家族の立場から綴る連載「アラフィフ娘の明るい介護」。今回は入院の費用についての実態をリアルにお届けします。
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入院費用をどう捻出するか 父の年金、母の生活費、子ども達の支援…
父親が入院してから2か月。介護うつになりかけていた母親はようやく日常を取り戻し、笑顔が多く出るようになり、友達との旅行にも出かけられるようになりました。父親も、きちんとした投薬が効いているのか比較的状態は安定。病院へお見舞いに行ったほんのわずかな時間に話すだけではありますが、「この安定した調子を維持できるのであれば、自宅介護でも問題ないのでは?」と、希望が見えてくるほどです。
ところで、入院にあたって最大の難関となったのは、金銭問題でした。会社員だった父は早期退職をし、その後自営業をしていたため、受け取れる厚生年金と国民年金は月に18万円強。専業主婦を続けてきた母に至っては、わずかな年金しか手にすることができません。私や兄もある程度の援助はできますが、すでに家族を持っている身。満ち足りるほどの仕送りはさすがにできません。
「母の介護うつをどうにかするためにも、とにかく入院はさせたい。でも、お金が心配!」
こうした気持ちが、否が応でも、強く、強く、ありました。父を受け入れてくれることになった病院では、何よりも前に、入院にかかる費用について訊ねました。
父の年金は入院費に 母の生活費は子ども達で負担
父の入院でコンスタントにかかるのは、下記の2つ。
・治療や入院にかかる費用 5万円程度(1か月当たり)
・食費 5万円程度(1か月当たり)
また、病院での生活に慣れるまでの処置として個室に入居するため、
・個室代 3300円(1日当たり)
がかかることが分かりました。さらに、次の雑費なども。
・着替え(タオル、下着、日用着等)が1600円(1セット)
・お小遣いの管理費用 300円(1日当たり)
・理髪代 1回2000円(2か月に1度)
などを提示されましたが、着替えは自分たちで用意することにして節約。お小遣いも、父はお金を渡すとすぐに使い切ってしまう性格のため、持たせないことにしてこれも節約。理髪代は必要であろうということでお願いしました。
結果、かかる金額は、最初の数か月は、ひと月に20万円程度。その後はひと月10万円程度になる計算に。これを聞いて、母とふたりでほっと胸をなで下ろしました。この金額であれば、なんとかなる――! と。
認知症患者の入院は、いわゆるケガや病気と違い、長期間にわたることが多いもの。前回書かせていただきましたが、「入院させたままで“死”を待つ可能性がある」以上、この金額を支払い続けなければなりません。
それぞれの家庭で事情は異なると思いますし、さまざまな見解はあると思いますが、我が家の場合は父親の年金をまるごと入院費に充て、母の生活費は私と兄が仕送りをすることで賄うことに家族会議で決定しました。
今、母は自分の生活を保ちつつ、父の元に週1で通い、洗濯物を届けるという生活を送っています。