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認知症の父が入院 家族がリアルに直面した費用 介護するアラフィフ娘の実録

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

家族が直面する金銭問題 ケアホームに母を入れたものの退所させた知人も

 我が家は本当にスムーズに入院させることができ、金銭的にも無理のない範囲で収めることができました。しかし、同様に認知症家族の介護をしている知人に聞いてみたところ、やはり金銭面がネックとなり、自宅介護を選択せざるを得ない人が多くいることが分かりました。

「特別養護老人ホーム(特養)じゃないと入れられない!」という人もいたので調べてみたのですが、施設介護サービス費用、居住費、食費、洗濯などの費用などを足すと、いくら介護保険があるとはいえ、月に14万~16万円はかかることが判明。しかも、特養は「要介護3以上じゃないと入りにくい」といわれ、要介護度が上がれば上がるほど、施設介護サービス費は値上がりするという、なんとも“切ない事態”が待っているのです。

 知人の中に90代と80代の両親がふたりとも要介護になった男性がいますが、やはり、費用面で頭を抱えていました。ご両親は元自営業。かなり高齢のため費用負担は通常より安くなるのですが、それでもふたり分となると、とてもじゃないけれど、国民年金だけでは足りません。

 都内在住のため、23区内の介護施設を探しましたが、やはり軒並み値段が高いために厳しく、現在は埼玉県や千葉県など、郊外の入所先を探しているとのこと。しかし、あまり遠い場所では見舞いに行く頻度を減らさざるを得なくなるため、悩んでいると打ち明けてくれました。

 また、認知症になった80代の母親を持つ別の知人女性は、一度は母親をケアホームに入れたものの金銭的に続かずに途中で退所。今は家族が交代しながら介護を行い、どうにかもたせているといいます。しかし「母親に向かって、思わず怒鳴ってしまいそうになる。それを止めるのが大変。あと1年しないうちに、私自身がボケちゃいそう」と、寂しそうに笑っていました。

 認知症だけではなく、どんな病気やケガでも同じだと思うのですが、介護をする側への負担は、身体的にも金銭的にもとても大きいのだと実感。税金は上がる一方なのに、公的な医療費等の負担が減少する現代日本。自分たちの老後費用だけでなく、両親の介護費用もまた準備しておかなければいけない時代に、いつの間にやら突入していたようです。超高齢社会となり、こうした問題は今後、もっともっと大きくなっていくことでしょう。

(和栗 恵)