仕事・人生
「#存命なう」が定期的に話題になる俵万智さん 「サラダ記念日」から38年 SNSやAI時代の私たちに伝えたいこと
公開日: / 更新日:

1987年刊行の第1歌集「サラダ記念日」(河出書房新社刊)で一世を風靡した、歌人の俵万智さん。今年4月に新刊「生きる言葉」(新潮新書刊)を上梓し、紀伊國屋書店全店月間ベストセラー1位(一般新書5月16日~6月15日)を記録するなど、注目を集めています。「サラダ記念日」から38年。SNSやAIに囲まれた今の時代に、俵さんが伝えたい「生きる言葉」とは。元テレビ朝日アナウンサーの日下千帆さんが、お話を伺いました。
◇ ◇ ◇
教科書に登場 若い世代は歴史上の人物として認知?
――昨今のSNS時代、サラダ記念日を出版した頃と比べて、言葉のあり方は変わってきたと思われますか?
「ほんの30年前はSNSがなかったので、このように、発信した言葉が多くの人に届けられるインフラはありませんでした。ただ、先にインフラが整ってしまったため、現在はルールやマナー、言葉のあり方を手探りしている状況かな。そのためにうまくいかないことも出てきていますが、それを糧にしながら、言葉がお互いを遠ざけるものではなく、近づけるものとして機能していってほしいなと思います。
過去との違いという点では、ひとつの言葉の力が、使い手が思っている以上に遠くに届いたり、思いがけない届き方をしてしまったりすることが、以前のような身近な人たちだけとのコミュニケーションが中心だった時代との違いかと思います」
――俵さんが教科書に登場していることもあり、周囲からは歴史上の人物のように認知されているようですね。ご自身のX(ツイッター)アカウントのプロフィールに「#存命なう」とつけられたのは、何か関係があるのでしょうか?
「中高生に『まだ生きていたんですね』とか『教科書で見ました』とよく言われるので、『プロフェッショナル 仕事の流儀』(NHK)という番組のインタビューを受けたときに『存命なうだよ』と言ったら、ディレクターがおもしろがって、予告動画にそのままテロップを入れました。それをプロフィールに入れたら親切だなと思って、つけています。
あと、アイコンに『#DEAD済み』というのも入れています。これは大好きなドラマの映画版『劇場版 おっさんずラブ~LOVE or DEAD~』を見たファンが連帯のためにつけているハッシュタグですが、両方つけていると怖いと言われます。これは映画を観たよという意味で、怖いものではないんですよ(笑)」
――テレビドラマ「おっさんずラブ」(テレビ朝日系列)のどんな点に魅力を感じていらっしゃるのですか?
「男同士の恋愛が、まったく違和感なく描かれている世界線が素敵でしたね。古い先入観からは自由なところで、物語が成り立っているのです。こちらこそあるべき姿で、それをあんなに楽しく描いて見せてくれているところが素晴らしいです」
