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からだ・美容

保険適用可能なケースも…受精卵を凍結保存するメリット・デメリットとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:小松原 千暁

凍結や融解の際にダメージを受ける胚も

 デメリットとしては、わずかではありますが、凍結や融解の際にダメージを受ける胚があることです。変性したり、成長が止まったりして、胚移植ができなくなる可能性はゼロではありません。

 また、採卵から胚凍結を経て胚移植を行う場合、採卵と同じ周期内で胚移植を行うことはできません。胚移植までは、最低でも1か月の期間を空ける必要があります。妊娠成立までの期間が長くなる可能性があることを、把握しておきましょう。

凍結胚の移植は増加傾向に…条件を満たせば保険適用可

 日本産科婦人科学会がインターネットで公開する「ARTデータブック2022」によると、ARTにより出生した赤ちゃんの9割以上が、凍結融解胚移植での周期治療による妊娠・出産です。

 2022年4月から、ARTにおける胚凍結保存は、一定の条件を満たすと保険適用の対象になるため、金銭的な負担が減っています。料金は医療施設により異なりますので、問い合わせてください。

 ただし、ARTを受ければ必ず妊娠できるということではありません。同データブックによると、治療方法によって差があるものの、20~34歳の妊娠率は40%~50%前後で推移しますが、35歳以上になると15~30%に下降。とくに35歳以上は、流産率が年々上昇する傾向にあります。

 将来、子どもを望む可能性がある人は、どのタイミングで子どもを何人授かりたいのかなど、早めにライフプランを考えていきましょう。

(Hint-Pot編集部)

小松原 千暁(こまつばら・ちあき)

不妊症看護認定看護師、生殖医療コーディネーター、妊活支援ナース育成コーチ、日本生殖看護学会理事。不妊治療の専門クリニックに約20年間勤務した経験より、日本の性教育に妊娠する力の妊孕性(にんようせい)に関する情報が少ないことを実感。現在は生殖医療の看護師を指導する一方で、不妊治療を受ける患者さんや若い世代に向けて、自ら選択できるように妊活の正しい知識を広める活動を行う。妊活についての情報サイト「妊活の歩み方」でお役立ち情報を発信中。