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食品の値上がりが気になる夏 コスパ抜群の豆苗 野菜なのに含む意外な栄養素とは 管理栄養士に聞く
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教えてくれた人:藤田 えみこ

記録的な高温や豪雨で、野菜の高騰が気になる今年の夏。そんな状況でも価格が比較的安定しているのが、豆苗です。家庭で再生栽培ができる点も、うれしいところですよね。さらに、意外な栄養素も含むコスパ抜群の野菜です。そんな豆苗について、効率的な食べ方も含めて、管理栄養士の藤田えみこさんに伺いました。
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豆苗はビタミンやミネラルが豊富
野菜の値段が上がるなか、注目したいのがスプラウト(発芽)野菜です。ハウスや工場などで栽培されているため、天候の影響を受けにくく、供給量が通年安定しています。
豆苗もそのひとつで、価格の変動が少なく“家計の味方”といえるでしょう。しかも、緑黄色野菜に分類されるほど栄養価が高く、ビタミンやミネラルなどが豊富で、栄養面でも優れた特徴があります。
まず、ビタミンB群です。豆苗にはビタミンB1・B2・B6、ナイアシン、葉酸、パントテン酸といったビタミンB群がたくさん含まれています。これらは代謝を上げる働きがあり、糖質や脂質、たんぱく質などを燃やすために不可欠な栄養素です。暑さによる疲れを回復させるのに役立つでしょう。
また、コラーゲンの生成に欠かせないビタミンCも多く、紫外線でダメージを受けた肌の回復をサポートします。加えて、必要に応じて体内でビタミンAに変わり、免疫機能を高める効果が期待できるβカロテン、骨の形成を助ける働きがあるビタミンKが豊富です。このほか、体内の水分調整に欠かせないカリウムも多く、夏に気になるむくみの軽減をサポートします。
意外かもしれませんが、豆苗には、たんぱく質も存在します。たんぱく質というと、肉や魚、大豆・大豆製品などのイメージがあるかもしれませんが、エンドウ豆の若菜である豆苗にも、100グラム中に3.8グラムと少量ですが、たんぱく質が含まれています。
このように、豆苗は手頃な価格ながら、さまざまな栄養が詰まった“コスパ抜群”な野菜のひとつです。
効率良く栄養を摂取するポイントとは
豆苗は、ゆでることでかさを減らし、たくさんの量をとりやすくなります。ただし、ビタミンCや葉酸、カリウムなどの水に溶けやすい栄養素は、ゆですぎると流出してしまうため注意が必要です。汁ごと食べるスープなどの具にするのがおすすめです。
また、油で炒めることでもかさが減り、βカロテンなどの脂溶性ビタミンの吸収率がアップします。シンプルに塩とコショウで味つけをしても良いですが、買い置きのツナ缶やサバ缶などがあれば一緒に炒めると、栄養バランスがさらに整った一皿になります。
豆苗は生でも食べられます。火を通したものと比べると、エンドウ豆の香りをより強く感じます。ビタミンCやカリウムなど、熱に弱い性質がある栄養素もとりたい場合は、豆腐やサラダチキンなどと組み合わせて、手軽にできるサラダにしてもおいしいです。ドレッシングにオイルを使うと、脂溶性の栄養成分も効率良く食べられます。
豆苗は、葉がしっかりと開いていて、緑色が濃いものが新鮮でおいしいです。葉がしなびて、黄色っぽく変色しているものは、鮮度が落ちている可能性があるためおすすめできません。全体にハリやツヤがあり、茎が太くて短めのものは鮮度が良く、再生栽培にも適しています。
(Hint-Pot編集部)

藤田 えみこ(ふじた・えみこ)
管理栄養士。女子栄養大学卒業後、教育や医療・介護の現場の献立開発に携わる。結婚後、地元山口県へUターン移住。出産・育児を経て、栄養と献立を伝える現場へ転職。コロナ禍をきっかけにオンラインにて料理講師としての活動をスタート。痩せにくい世代へのダイエットメニュー、災害時に役立つ防災食講座などが人気。健やかな体作りのために、栄養や調理など食の知恵を発信する。2児の母。
インスタグラム:jitan.eiyo