からだ・美容
不妊治療で大切にしたい病院選び 専門家が教える「確認しておきたい3つのこと」
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教えてくれた人:小松原 千暁

不妊治療を考えるとき、どんな病院を選べば良いか、迷うこともあるでしょう。納得のいく治療を受けるため、病院選びの際に確認しておきたいポイントを、不妊症看護認定看護師の小松原千暁さんに伺いました。
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自分たちが望む治療とは? 夫婦で話し合って決めよう
不妊治療ができる医療施設には、総合病院や大学病院などの大きな病院、産婦人科医院、不妊治療専門クリニックなどがあります。施設によって治療実施の幅や診療内容が異なるため、自身が受けたい治療を行っているところを選ぶことが大前提です。
たとえば、産婦人科医院の多くは一般不妊治療(タイミング法、人工授精)まで。不妊治療専門クリニックは、一般不妊治療をはじめ、体外受精や顕微授精といった高度な生殖補助医療(以下、ART)を実施しているところがほとんどです。また、不妊外来のある総合病院や大学病院は、一般不妊治療、ARTなどに加えて、必要に応じてほかの診療科との連携、妊娠中の受診や分娩まで行うところもあります。
どんな治療をどこまで望むのか、治療を始める前に夫婦で話し合うことが大切です。2022年4月からは、不妊治療の基本的な診療が保険適用に。年齢や回数に上限があるものの、金銭的な負担が減りました。ただし、ART治療周期が2か月にまたがると、高額療養費制度を利用しても上限費用を2か月とも支払う必要があります。料金は医療施設によって異なるので、確認してください。医療施設が開催している勉強会や説明会に、夫婦で参加するのも良いでしょう。
不妊治療は、患者を中心に医療スタッフがひとつのチームになって行うもので、長期戦になることも想定されます。病院選びで迷ったときは、次の3つのポイントも判断材料にしてください。
その1 医師やスタッフ
生殖医療専門医が在籍しているかどうか、医師以外の専門スタッフがいるかどうかについて確認してみましょう。不妊治療はチーム医療です。患者が中心になったチームとして、専門性の高い医療を提供できる体制にあるかが大切といえます。
生殖医療専門医とは、産婦人科の専門知識と熟練した技能を持つ産科婦人科学会認定の産婦人科専門医を取得した医師のうち、さらに生殖医療の臨床経験を積むなど、広い知識と磨き上げられた高い技能を身につけ、生殖医学会の認定試験に合格した医師に与えられる資格です。まさに不妊治療のエキスパートで、幅広い不妊治療の選択肢のなかから適した治療選択をしてくれます。
そして、医師だけでなく、心身面を支えてくれる看護師などのスタッフの存在も大きいものです。とくに、日本看護協会認定の不妊症看護認定看護師は、生殖医療の知識を持ち、不妊治療を受ける患者の心理を理解し支援できる、熟練した看護師です。また、生殖医療コーディネーター、生殖医療相談士、体外受精コーディネーターなど、専門知識を持つスタッフがいる施設もあります。医師に聞けなかった疑問、治療だけでなく夫婦の関係性への心配や不安、日常の過ごし方など、相談できる体制や相談室の開設などを確認することも大切です。
体外受精などARTを考えている人は、胚を取り扱う経験を多く積んだ、熟練の胚培養士がいるかどうかも検討材料になります。実際に胚培養士が胚移植前後の説明を実施したり、相談室などを開設したりしている医療施設もあるので、参加してみると良いでしょう。