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卵の赤と白、“おいしさ”は色で違う? スーパーで売れ行きは歴然の差…料理人まで大激論の答えとは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム

そもそもなぜ色の違いが存在? 専門家は突然変異による色素欠落の可能性を指摘

 そもそも、なぜ鶏には白い卵と色のついた卵が存在するのでしょうか。日本養鶏協会でエグゼクティブアドバイザーを務める元東京農業大学教授の信岡誠治氏は、もともと鶏の卵は有色で、その中の一部が突然変異により色素が欠落したという説を提唱しています。

「白色レグホーン、ミノルカ、アンダルシャンなど、地中海沿岸地方の在来種を起源とした鶏は羽毛色と関係なく白玉を産みますが、それ以外の地域の在来種はほとんどが赤玉など色のついた卵を産みます。鶏の卵はもともと、他の動物に食べられないようにするため有色の保護色であったと思われます。しかし、たまたま地中海沿岸地方の鶏が突然変異で色素を分泌する機能が欠落し、白玉を産むものが誕生した。それが他の鶏と自然交配で広がっていき、とくに白色レグホーンの産卵成績が良かったことから、養鶏用の品種として全世界に広がったというわけです。現在は卵殻色の色合い、濃淡などは消費者の嗜好(しこう)に合うように育種改良されております」

 ちなみに「白色の羽毛の鶏が白玉を産み、褐色の羽毛の鶏が赤玉を産む」というのは俗説で、実際には褐色の鶏が白玉を産むことも、逆に白色の鶏が赤玉を産むこともあるとのこと。気になる味や栄養価については、卵の色による違いはなく、餌の違いが最も大きく影響するそうです。現在は餌にビタミンや機能性成分を添加した卵がブランド卵として市場を席巻。中には卵黄の色が極端に濃いブランド卵も存在しますが、信岡氏は「卵黄色はエサに赤パプリカなどの微粉末を0.1%ほど添加すると濃くなります」と着色の仕組みを説明します。

 今回話題を呼んだ投稿については「赤玉の方が白玉よりも売れるかどうかは、国民性が影響していると思われます」と信岡氏。ヨーロッパ諸国は赤玉が好まれており、逆にアメリカやカナダは白玉が主流で赤玉は1割程度だといいます。「日本は白玉が6割強、赤玉やピンク卵が4割弱です。一般的に小売価格は赤玉の方が少し高い価格で売られていますが、卵価格が高くなると割安の白玉の方が売れやすい傾向があり、価格が下がると赤玉の方が売れやすいとされています」と市場の傾向を解説します。

保存方法にも注意 “卵を割って保管”は「絶対避けていただきたい」

 まだまだ暑い日が続くこの季節には、保存方法にも気を付けたいところ。また、パックに記載されている賞味期限にも注意が必要だといいます。

「秋から春までは常温での流通でもとくに大きな問題はありません。問題は気温が30度を超える夏場。保冷してある卵を暑い外気にさらすと表面が結露し、そこに空気中の細菌が付着し、卵内に細菌が侵入するリスクが高くなってしまいます。夏場は購入後できるだけ早く、冷蔵庫の冷気の吹出し口からできるだけ離れた場所にパックのまま平置きで保管するのがいいでしょう。

 業界内のルールとして、卵は産卵日から21日後を賞味期限としています。実際には産卵から洗浄、消毒、パックするまでの日数を差し引き、パック日(包装日)から14~17日後の年月日が表示されています。賞味期限はあくまでも『生』で食べられる期限であり、期限を過ぎても2週間以内であれば加熱調理して食べることができます。

 絶対避けていただきたいのは、卵を割ってボールやお椀で保管することです。常温は論外、冷蔵庫での保管でも食中毒のリスクがあるので、割った卵はすぐに食べるか加熱調理してください。調理された卵料理も消費期限があります。すぐに食べるのが大原則で、冷蔵した場合でも当日中には召し上がってください。SNSなどでは何日間は大丈夫だという書き込みもありますが、真に受けないでください」

“物価の優等生”と呼ばれるなど、庶民にとっても身近な食材の一つである卵。スーパーで手に取る際には、色による売れ行きの違いにも注目してみたいですね。

(Hint-Pot編集部/クロスメディアチーム)