お出かけ
添乗員が語る外国人観光客のリアル 自由すぎる行動や時間感覚に戸惑いながら学んだこととは
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旅は、その土地のものを見たり体験したりするだけでなく、そこで出会う人たちや、文化の違いを肌で感じられる貴重な機会でもあります。旅アドバイザー&トラベルライターのAnaさんは、コロナ禍以降離れていたツアーの添乗業務に、今年になってときどき携わるようになりました。日本人の団体旅行と訪日外国人のツアーでは、思わぬところに違いがあることを体験したそう。その印象的なエピソードを、数回にわたって紹介します。
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アメリカのバックグラウンドは実に多様
先日担当した、関西と関東を1週間ほどでめぐるインバウンドツアーでのことです。お客様は全員アメリカ在住。ただ、ひと言で「アメリカ人」といっても中国系、メキシコ系、インド系、そして日系など、そのルーツは実にさまざまでした。

ですから、食事ひとつとっても、好みや考え方はまったく異なります。たとえば、ツアー参加者のうち数人の方はベジタリアンで、なかには味の好みや体質ではなく、思想的な理由で食べない方もいました。
一方で、魚や野菜は苦手だからとお肉しか食べない方。さらに「自分の父は日本人だから、日本の料理は大好き!」とお寿司やお刺身を好んで食べる方もいれば、「生の魚はちょっと気持ち悪い。しょうゆも味が濃くてちょっと……」という方も。日本人の好き嫌いとはまた違う多様性を、目の当たりにしました。
日本のバスは意外に小さい?
これまでは海外ツアーの添乗が多かったため、日本の観光バスのサイズをあまり意識したことはありませんでした。しかし今回、40名という大人数のインバウンドツアーを担当して「日本のバスは小さい!」と実感しました。

シートの幅は、欧米の大型バスに比べてややコンパクト。体格の良い男性同士が並ぶと窮屈そうで、少し気の毒に思ってしまうほどでした。
さらに問題だったのは荷物です。7~10日間の滞在ということもあり、みなさん大きなスーツケースを持参。なかには2つ以上持ち込む方もいて、人数以上の荷物が集まってしまいました。
バスのトランクルームは日本の観光需要を前提に設計されているため、そこまでの容量が想定されていません。日本人の国内旅行で、大型スーツケースを持参する方はほとんどいないですし、ましてや1人で複数個持ってくることはまずありません。
その結果、毎朝の荷物の積み込みはまるでテトリス。ドライバーさんと一緒に、空間を見極めながら少しでも多く積めるよう、工夫する日々でした。