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「ドイツ出国で止められた」 能楽師が体験した文化の壁 保安検査場で「これはなんだ?」と驚かれたものとは
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海外でも注目を集める、日本の伝統芸能。しかし、普及活動などで出向いた先で、時として思わぬトラブルに見舞われることもあるようです。X(ツイッター)では、ドイツから帰国しようとした能楽師が、空港の保安検査場で止められたという投稿が話題に。12.8万もの“いいね”を集めた投稿について、投稿者の山田伊純(@yamadaisumi)さんに詳しいお話を伺いました。
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能楽を代表する面「小面」と「中将」を携帯
「ドイツ出国で止められた」
そんなコメントとともに投稿された写真には、2つの伝統的な能面が並べて置かれています。左は、能楽を代表する面のひとつ「小面(こおもて)」です。なめらかな肌に切れ長の黒い瞳、そしてわずかに開いた赤い唇からお歯黒風の黒い歯が覗く、優雅な表情をした若い女性です。「小」には「かわいらしい」という意味があり、若い女性の役に用いられます。
一方、右は「中将(ちゅうじょう)」の面です。在原業平の姿を写したと伝わり、眉をしかめた苦悩の表情が特徴的。平家滅亡の憂いや悲しみを表現することが多く、業平本人や武将の役で用いられるといいます。
日本人でも、こうした能面を見たことがない人は多いでしょう。海外の空港職員に短時間で説明するのは、確かに困難だったはずです。
この投稿は大きな反響を呼び、12.8万もの“いいね”が集まりました。リプライ(返信)には「え? なんで!? ダメなんですか? 謎すぎます」「←出国前の顔 止められたときの顔→」「職員が『えっ、何? すごい、本物??』って、じっくり近くで見たかったんだよ」など、驚きの声が殺到しています。
