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「私だけ刺される?」 蚊に刺されやすい人の共通点と予防策 医師が解説

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

自分ばかり蚊に刺されているのでは? と感じることも…(写真はイメージ)【写真:写真AC】
自分ばかり蚊に刺されているのでは? と感じることも…(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 蚊といえば夏のイメージがありますが、記録的な暑さが続く今年は、猛暑が落ち着くこれからが蚊の活発化シーズンといわれています。実は、蚊に刺されやすい人には特徴があるのだそう。林外科・内科クリニック理事長で、日本外科学会外科専門医の林裕章さんに、刺されやすい人の特徴や刺されないための工夫、刺された際のケア方法などについて詳しく伺いました。

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蚊に刺されやすい人の特徴とは

 ほかの人も多くいるのに、なぜか自分だけ蚊に集中的に刺されるという経験がある人もいるでしょう。こうした違いが出るのは、蚊が吸血対象を見つけるときに頼りにしている要素が関係していると考えられます。蚊は二酸化炭素、熱、匂い、色の4つの要素を頼りに吸血対象を探しています。蚊を引き寄せやすい人は、主に次のような傾向があります。

○代謝が高め
 蚊は二酸化炭素や熱を敏感に感知します。代謝が高い人は、体内でエネルギーを活発に使うため、呼吸量が増え、二酸化炭素の排出量が多くなります。また、体温も高めになる傾向があります。運動後の人や飲酒後の人、妊娠中の女性、基礎代謝が高い子どもなどが刺されやすいでしょう。

○特定の体臭
 私たちの皮膚には無数の常在菌がおり、汗や皮脂を分解して、体臭のもととなる匂い成分を発生させます。これらの菌が産生したカルボン酸など特定の有機化合物の量が多い人が蚊を強く引き寄せることが、近年の研究で明らかに。汗に含まれる乳酸やアンモニアなども蚊の誘引物質と考えられています。

○服の色
 蚊は二酸化炭素を感知すると、赤や橙、黒、シアンの色域への選好が強まることが、近年の研究で示されています。蚊は人の目のように多くの色を細かく見分けているわけではありませんが、黒など特定の濃い色を好む傾向があるといわれています。

 ちなみに、血液型については議論が分かれるところです。「O型が刺されやすい」といわれることがありますが、研究によって結果にばらつきがあり一貫性に乏しいため、決定的要因ではありません。

蚊に刺されない工夫とは

 日本でよく見られるヒトスジシマカは「昼蚊」と呼ばれ、日中も盛んに吸血します。同じく代表的な種類のアカイエカは、夜間に活発になります。蚊に刺されないための最も効果的な対策は、有効成分が含まれた虫除け剤の使用です。日本の厚生労働省や、アメリカのCDC(疾病対策センター)が推奨する主な有効成分としては「DEET(ディート)」や「イカリジン」などがあります。

 虫除け剤には年齢や回数制限などがあるため、使用時は必ずラベルの指示に従ってください。とくに妊娠している人や、子どもに使用する場合は気をつけましょう。

 使い方も、原則は露出している部分だけで、目や口、傷がある箇所には使用しないでください。日焼け止めを併用する際は、日焼け止め→虫除けの順に使用すると良いでしょう。

 このほか、屋外で蚊に刺されないためにできる工夫として、服装が挙げられます。黒っぽい服は避けて、白や淡い色の服を選ぶと良いでしょう。体にフィットした服だと、服の上からでも刺されることがあるので、ゆったりとした服装にするのもポイントです。できれば長袖や長ズボンを着用し、肌の露出をできるだけ減らしましょう。また、汗をかいたら、ウェットティッシュや汗拭きシートなどでこまめに拭くのも、蚊の標的にならないために有効です。

 環境の管理も大切です。蚊はわずかな水たまりでも産卵します。家の周りの植木鉢の受け皿、空き缶、古タイヤなどに溜まった水をなくすことで、蚊の発生源を減らせます。幼虫期は数日~1週間で成虫化するため、週1回のルーティンが効果的です。

 また、蚊の侵入を防ぐためには網戸を使ったり、窓やドアをしっかり閉めたりすることが大切です。さらに、扇風機や天井ファンは、弱い風でも気流によって蚊の飛翔や着地を妨げます。二酸化炭素を拡散させる効果もあり、補助的な対策として有効です。