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アニサキスだけではない食中毒 発生が最も多いのは10月 家庭でできる対処法とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

秋も気をつけたい食中毒(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
秋も気をつけたい食中毒(写真はイメージ)【写真:PIXTA】

 過ごしやすい気候になり、食欲の秋が本格化。家庭で旬の食材を味わったり、屋外でバーベキューなどを楽しんだりする機会も増えるでしょう。食中毒というと、高温多湿な時期に起こりやすい印象がありますが、実は秋も注意が必要です。秋の食中毒について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。

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過去5年平均の食中毒発生は10月が最も多い

 厚生労働省の「食中毒統計資料」によると、2020~2024(令和2~6)年の過去5年間に発生した食中毒は、月別平均で10月が最も多くなっています。秋は旬の魚の生食やキャンプ、バーベキュー、キノコ狩りなど、食中毒の可能性があるイベントが増加。それが理由のひとつといえるでしょう。

 食中毒の主な原因として、通年では細菌やウイルス、寄生虫、自然毒、化学物質などが挙げられます。10月に多いのは細菌、寄生虫、そして自然毒の3つです。それぞれを解説します。

気をつけたい細菌性食中毒

 細菌の多くが10度以上で増殖し始めますが、増殖しやすい温度は20~50度といわれています。代表的なのはカンピロバクターです。加熱が不十分な鶏肉などが原因となり、発熱、腹痛、下痢などの症状を引き起こします。

 ウェルシュ菌にも注意が必要です。調理後に常温で放置される時間が長いほど増殖しやすく、カレーやシチューなどの煮込み料理が典型的な例に挙げられます。運動会や行楽シーズンの煮物といった作り置き料理、大量調理の弁当などでも発生しています。

 これらの細菌性食中毒予防について、厚生労働省は、細菌を食べ物に「つけない」、食べ物に付着した細菌を「増やさない」、食べ物や調理器具に付着した細菌を「やっつける」の三原則の徹底を呼びかけています。

 調理前には必ず手を洗い、弁当箱などの容器や調理器具を、洗剤でよく洗いましょう。さらに熱湯や漂白剤で消毒し、十分に乾燥させることが大切です。食材も流水でよく洗いますが、肉類は水洗いの必要はありません。水洗いをした場合、付着している細菌が飛び散るおそれが。水洗いを避け、中心部までしっかり加熱することが安全につながります。

 カンピロバクターを予防するには、中心部の温度が1分間以上75度を超える加熱が目安です。卵料理は半熟ではなく固まるまで加熱し、ハムなどの加工食品も加熱調理しましょう。

 作り置きの総菜を使うときは、必ず火を通してから、冷まして容器に入れてください。ごはんも、蒸気がこもらないよう、冷ましてから詰めるように心がけましょう。