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アニサキスだけではない食中毒 発生が最も多いのは10月 家庭でできる対処法とは

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:和漢 歩実

食欲の秋は寄生虫に注意を

 寄生虫による食中毒でよく知られているのが、アニサキスです。サンマやサバ、イカなどを寿司や刺身といった食べ方で生食すると、アニサキスに感染して、激しい腹痛や嘔吐などの症状を起こすことがあります。レジャーで、釣った魚をその場でさばいて、生で食べる場合は注意しましょう。

 アニサキスなど多くの寄生虫は、マイナス20度以下で48時間以上冷凍すると死滅するといわれていますが、なかには死滅しないものもいます。十分に加熱することが大切です。

 食品には、さまざまな種類の原虫や寄生虫がいることがあります。魚に限らず、生の肉や卵を触ったら、手をよく洗いましょう。包丁やまな板を使う際は、生野菜など加熱しない食品を先に、生の肉や魚介類はそのあとで切ることを心がけてください。まな板の両面を使い分けても良いでしょう。

 使った包丁やまな板は、すぐに洗剤で洗って、調理済みの食品に触れないようにしましょう。野菜にも寄生虫の卵がついている可能性があります。生で食べる野菜は、調理前に流水でよく洗うのが基本です。

秋に増える自然毒での中毒

 行楽シーズンに山へ出かけて、とれた山菜やキノコなどを食卓で楽しむことがあるかもしれません。自然毒のある山菜やキノコをうっかり食べると、食中毒になります。主な症状は、嘔吐・下痢・腹痛など消化器系の障害や、手足のしびれ・意識の混濁といった神経系の障害などです。脱水症状や痙攣、呼吸困難といった重症になるケースもあります。

 よく「毒キノコは派手な色をしている」や「茎が縦に裂けるキノコは食べられる」などといわれることがありますが、誤った情報です。見た目が食用のものと似ていることが多く、誤って食べると命に関わることもあるため、注意が必要です。

 キノコや山菜は、見分けが難しい場合もあります。食用のキノコによく似た形のツキヨタケ、クサウラベニタケの2種類が代表的です。食用の判断がつきにくいキノコや山菜は、とらないことが大切。人にあげることも控えましょう。

(Hint-Pot編集部)

和漢 歩実(わかん・ゆみ)

栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾