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「育児こそが最高のリスキリング」 元L⇔R黒沢秀樹さんが“自主育休期間”に挑戦した資格取得 到達した明確な結論

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

元L⇔Rの黒沢秀樹さん【写真:くさかべまき】
元L⇔Rの黒沢秀樹さん【写真:くさかべまき】

 90年代バンドブームの中で異彩を放った3人組のL⇔R。代表曲「KNOCKIN’ ON YOUR DOOR」のキャッチーなメロディとポップなサウンドは、今でも語り継がれている楽曲です。そのギタリストとして活動していた黒沢秀樹さんは、2018年、47歳のときに父親になり、育児中心の生活にシフトしました。育児期間を活用し、産業カウンセラーや保育士の資格を取得。現在は産業カウンセラーの資格を生かし、学生が起業した「スターベルズ」という企業の執行役員としてサポートをするなど、新しい挑戦を続けています。そんな黒沢さんに育児とリスキリングの両立について伺いました。

 ◇ ◇ ◇

子どもを寝かしつけたあとに勉強漬けの日々

 もともと、ひとつのことを深く突き詰める、凝り性な性格だという黒沢さん。心理学に興味があり、子どもの誕生をきっかけに発達心理学について、調べ始めたといいます。

「世の中にこんなにちゃんと研究してデータを取って、こんなにたくさんの実証データを出している人たちがいるのかと思って、まずそこにびっくりしました。そして気づいたのが、人の根本には幼少期の体験が大きく影響し、最終的にはそこに立ち返っていくということ。これはやっぱり体系的に勉強したいなって思い始めたんです」

 ちょうど子どものために仕事量をセーブし、“自主的育児休業”をしていた黒沢さんは、せっかく勉強するならと、資格取得についても考え始めます。そこで、公認心理師の資格を持つ友人におすすめの心理系資格を聞いたところ、産業カウンセラーを勧められました。

「そのときはコロナ禍で、僕たちの業界は100%停止の状態だったのも大きいです。ライブなんかできませんから。そうしたらちょうどオンラインで受けられる講習があったんですよ。抽選だったのですが運良く当選して、これだったら子どもを見ながら家で受講できると。だからもう、タイミングは今しかないと思いました」

産業カウンセラーを取得し、念願のオンラインカウンセリングを開設

 産業カウンセラーは、働く人たちを支援し、職場環境の改善をサポートする仕事です。そのため、心理学だけでなく労働関連法など幅広い分野を学ぶ必要があり、資格取得は決して簡単なものではありません。

「100時間以上も講習を受けなきゃいけなくて、テキストもとても分厚くて。課題もいっぱい出るし。自主学習の時間を確保できるのは、子どもを寝かしつけてからでした」

 育児とどうにか両立させながら勉強に励んだ黒沢さんは、試験に見事一発で合格。そして、アーティストやクリエイターのためのオンラインカウンセリングルーム「アサイラムストレスマネジメントサポートオフィス」を立ち上げます。

 ミュージシャンとして長年活動してきたからこそ、誰かと悩みを共有する環境がない人や、社会的な後ろ盾がない職業の人にも、メンタルケアが必要だと感じた黒沢さん。「すべての人はアーティスト・クリエイターである」という理念のもと、誰でも気軽に相談できる場所を作りたかったといいます。