鼻水が出てくる、のどがイガイガする――風邪や寒暖差アレルギーなどとも間違えやすいですが、もしかすると「秋の花粉症」の症状かもしれません。花粉症といえば春先のイメージですが、ここ数年、秋に悩む人も増えているようです。皮膚科専門医である千原真未先生に、秋の花粉症について、特徴や対策などを詳しく教えていただきました。

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秋の花粉症の特徴とは　春との違い

　花粉症といえば、春の印象が強いでしょう。ところが、最近は「秋の花粉症」に悩む人も増えています。ひとくちに花粉症といっても、秋と春では、原因や症状が異なります。

　たとえば、春の花粉症の原因植物は、主にスギやヒノキの花粉が挙げられます。一方、秋の花粉症の原因植物は、河川敷、草地、都市部に繁茂しているブタクサ、ヨモギ、カナムグラです。スギやヒノキなどの樹木と比べると、ブタクサ、ヨモギ、カナムグラは草丈が低く、花粉は地表近くで飛散し、飛散距離は短いのが特徴です。

　近年の「秋の花粉症」増加には、気候変動による雑草の繁殖や、花粉飛散期間の長期化が関係していると考えられます。また、ブタクサやヨモギなどが、都市部の空き地や河川敷でも増えており、花粉を吸い込みやすくなっていることも一因です。

　秋の花粉症は、鼻水・鼻づまり、くしゃみ、目のかゆみ、皮膚のかゆみに加え、咳の症状が出ることもあるのが特徴です。とくにブタクサ花粉は粒子が小さく、下気道まで届きやすいので、咳や喘息の悪化につながることもあります。そのため、軽い風邪や寒暖差による咳と誤解されやすいのですが、長引く場合は対面はもちろん、外に出ずに受けられるオンラインでの受診もおすすめします。

春の花粉症の人は、秋もなりやすい？

「春の花粉症になる人は、秋も花粉症にかかる確率が高いですか？」と聞かれることがあります。大前提として、花粉の種類・地域差・アレルゲン感作（編集部注：読み方、かんさ。アレルゲンが体内に入って免疫抗体ができた状態。一度、感作が成立すると、再び同じ刺激にさらされたとき、アレルギー症状を誘発する）の有無などが大きく影響するため、信頼できる「％」は出せないというのが現状です。

　春にスギやヒノキの花粉症がある人は、秋にも花粉症を発症する可能性がありますが、必ずしも全員がなるわけではありません。花粉症とは「特定の花粉（＝アレルゲン）に対して、免疫が過敏に反応する状態」です。そのため、スギ花粉に反応する人が、必ずブタクサ花粉にも反応するとは限らないのです。

　ただし、アレルギー体質（アトピー素因）がある人や、複数の花粉、ハウスダスト、ダニなどに感作されている人は、秋にも症状が出やすい傾向があるといえます。実際に臨床現場では、春だけでなく秋にも、鼻水やくしゃみの症状を訴える人が少なくありません。