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「引退馬と呼ばない未来へ」の旗手 ヴェルサイユリゾートファームが示す、功労馬の“サードキャリア”と認知度向上の軌跡

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・瀬谷 宏

G1馬も無名馬も―分け隔てない受け入れ

有馬記念に出走した名ハードラー・オジュウチョウサンも在籍【写真提供: ヴェルサイユリゾートファーム】
有馬記念に出走した名ハードラー・オジュウチョウサンも在籍【写真提供: ヴェルサイユリゾートファーム】

 牧場には、日本ダービー馬のタニノギムレット、ジャパンカップを勝ったローズキングダムといったG1馬や、G1戦線で活躍し、Yogibo(ヨギボー)のCMでもおなじみになったアドマイヤジャパン、有馬記念にも出走したジャンプG1馬のオジュウチョウサンといった馬が暮らしています。

 一方で、競馬ファンでもあまりなじみのない馬たちも、同じように受け入れられています。

「別に選んでいるわけではなくて、来る馬をそのまま受け入れているだけ。私たちは、ほぼ受け身なんです」

 創設当初から「重賞馬しか預かりません」といった制限は一切なし。その姿勢が共感を呼びました。馬の“格”で線を引かないという信念。その一貫した姿勢が、多くの人の心を動かしているのです。

支援の輪が拡大 クラウドファンディング1週間で1000万円

18歳になったローズキングダム【写真提供:ヴェルサイユリゾートファーム】
18歳になったローズキングダム【写真提供:ヴェルサイユリゾートファーム】

 環境の変化を最も象徴しているのが、クラウドファンディングの成功です。

「以前は1000万円を集めるだけでも本当に大変で、それが今では1~2週間で達成できるようになりました。ここまで来られたのは、応援してくださるみなさまのおかげです」

 功労馬への理解が深まった証といえるでしょう。

 さらに「ここで働きたい」と志願する人も増加。人手不足が課題とされる牧場業界ですが、ヴェルサイユリゾートファームには全国から人が集まってきているそうです。なかには、北海道外から移住して働くスタッフもいるそう。

「競走馬ほどのプレッシャーはないけれど、功労馬を支えたいという気持ちが強い人ばかりです」

 岩崎さんだけでなく、その思いに共感したスタッフたちの情熱が、牧場を支えています。