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「引退馬と呼ばない未来へ」の旗手 ヴェルサイユリゾートファームが示す、功労馬の“サードキャリア”と認知度向上の軌跡

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部・瀬谷 宏

新事業への挑戦―持続可能な牧場経営を目指して

引退馬の未来のために活動する岩崎さん。東京・二子玉川で行われたイベントにも、自ら馬を引いて参加【写真:Hint-Pot編集部】
引退馬の未来のために活動する岩崎さん。東京・二子玉川で行われたイベントにも、自ら馬を引いて参加【写真:Hint-Pot編集部】

 50頭を超える馬を養うには、莫大な資金が必要です。そのため、ヴェルサイユリゾートファームでは多角的な事業展開を行い、持続可能な経営を目指しています。

 そのひとつが「ファームウェディング」。約3年前から、フォトウェディングやムービーウェディングのサービスを開始しています。10月初旬には、岩崎さん自身が華やかなウェディングを催し、SNSにも写真を公開したことで話題になりました。

「せっかく有名な馬たちがいるのだから」と始めたこの取り組みは、順調に成長しています。

 ヴェルサイユリゾートファームのもうひとつの使命は、人々と馬との距離を縮めることです。岩崎さんは以前から、こんな疑問を持っていたといいます。

「日本人にとって、なぜか馬は遠い存在になっているような気がします。昔はもっと身近にいたのに、今はふれあう機会が少ないですよね。動物園に行っても馬はいない。正しく言うと、サラブレッドはいないんです」

 実際、訪れる人の多くは「馬とふれあいたい」という思いで牧場を訪れます。競馬ファンだけでなく、動物好きの家族連れや癒やしを求める人々など、幅広い層が足を運んでいるといいます。

 岩崎さんの活動は、引退馬を取り巻く環境を確実に変えつつあります。それでも、その信念は創設時から変わりません。

「#引退馬と呼ばせない未来へ」――このスローガンが示すのは、馬たちへの敬意です。競走馬としての役目を終えても、彼らの“馬生”は続いていく。新しい役割を得て、人々に愛され、穏やかに暮らす――それは決して“引退”ではなく、“新たなスタート”なのです。

 馬と人の新しい関係を築き続けるヴェルサイユリゾートファームの挑戦は、これからも続いていきます。

(Hint-Pot編集部・瀬谷 宏)