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重婚日記~笑撃の結婚生活~ 第5話「まさかの衝撃 重婚の上に、さらなる嘘」

公開日:  /  更新日:

著者:Rocco

教えてくれた人:坂本 尚志

離婚協議開始と、まさかのオチ

 前妻というか、もうひとりの妻との交渉に向け、行政書士の友人が離婚協議書を作ってくれた。慰謝料など、養育費以外の請求はしないこと、子どもに会う権利のこと――条件は整った。

 夫は「話をしてくる」と出ていき、何度か出かけるようになったが、しばらく経っても音沙汰なし。本気で離婚をする気はあるのか再度確認すると、ある日「離婚協議書にはサインをもらえた」と紙を差し出した。少しは前進したように思えた。

 ……ところが、そこから1か月以上経っても、離婚届の話が出ない。おかしいなと思い、問い詰めた。「協議書にサインできて、離婚届にサインできない。その違いは何?」――すると返ってきた答えが、想像をはるかに超えていた。

「実は、まだ話を切り出せてない……」

――え、じゃあ離婚協議書のサインは誰の?

「飲み屋で隣に座ったお姉ちゃん。ハンコは100均。ごめんなさい」

 嘘でしょう!? 6年間も重婚を隠しておきながら、バレてもまた離婚をごまかそうとしてたってこと!? ……もう、ここまで来ると逆に清々しい。

「ドッキリでした~!」と、札を持ったスタッフが出てきても驚かない。「ひどすぎる!」と言って部屋を出たこと以外は記憶がない。やけ酒しようにも、妊娠中。なんてこったい。

重婚解消 そして“戦友”のような感覚

 さすがの私も愛想を尽かしたことで、最終的に夫は腹をくくったらしい。なぜ、それほどまでに言い出せなかったのかは、今でもわからない。

 ちゃんと前妻に話をしたら、あっさり離婚届にサインをしてくれたようで、ほどなく離婚届も提出に行った。証拠確認のため、離婚届受理証明書も取り寄せて、正式に離婚が確認でき、やっと重婚から解放された。

 普通なら、前妻=敵のような感情を抱くのだろう。重婚状態となったら、なおさら。でも、私はそうは思えず、それどころかお互い被害者となった“戦友”くらいに思っている。

 彼女は、私の存在を知らない。私も彼女の顔さえ知らない。毎月、養育費の振り込みをしていたから、私は彼女の名前だけは知っていたけれども。6年間別居していても、養育費をちゃんと払って、子どもとも定期的に会っていた。そういう安定した関係があったから、すぐ離婚に応じてくれたのかもしれない。

 もし相手が拒んで裁判になっていたら、私は迷わず離婚していたと思う。そうならなかったのは……ある意味、運命だったのかもしれない。

【重婚について】
刑法第184条では、すでに配偶者がいる者が別の相手と婚姻した場合を「重婚罪」と定めています。ただし、実際の現場では、意図的なものばかりでなく、外国との戸籍や手続き上の制度の違いや、ミス・誤認などによって、意図せず結果的に重婚状態になってしまうケースもあり得ます(清陵法律事務所・坂本尚志)。

(Rocco)

Rocco(ロッコ)

20年近い結婚生活で、次々に起こる波乱を、泣きながらも笑いに変えて乗り越えてきた。とくに、戸籍制度の落とし穴から生じた「国内重婚」という、聞いたこともない状況に直面し、検索しても事例が見つからず、孤立無援の中で悩んだ経験は大きい。実際の体験をもとに、戸籍制度とレジリエンスをテーマに綴っています。

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