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ホウレン草の電子レンジ調理→栄養士「おすすめできません」 時短調理時は要注意 正しい下処理の方法とは
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教えてくれた人:和漢 歩実

「緑黄色野菜の王様」といわれるほど、栄養豊富なホウレン草。とくに寒い季節は、甘味が強くなりおいしさが増すので、日々の献立に取り入れることも多いでしょう。ホウレン草は、お浸しや和え物、炒め物はもちろん、グラタンやパスタの具材にも使える万能野菜です。しかし、下処理をしないまま食べ続けると、体に悪影響を及ぼす可能性があるといわれています。ホウレン草について、栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに伺いました。
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ホウレン草は調理前のアク抜きが基本
ホウレン草は、サラダホウレン草など生食できるものを除き、ゆでてから料理に使うことが基本です。理由は、えぐみ成分のアクと呼ばれるシュウ酸を含むためです。シュウ酸は摂取しすぎると、結石を作り出し、尿路結石のリスクを高めることで知られています。
日常の食事で、ホウレン草を毎日大量に摂取するわけではありませんが、不要なシュウ酸を体内に取り入れないために、ホウレン草を調理する際にはアク抜きが欠かせないとされています。シュウ酸は水に溶けやすいので、たっぷりの湯でゆでてから、水に1分ほどさらすだけで減らせます。
時短調理として、電子レンジでホウレン草を加熱し調理する方もいるかもしれませんが、ホウレン草のシュウ酸を減らす視点からいうと、おすすめできません。電子レンジ調理がいけないということではありませんが、ゆでたときよりも長めに5分程度、水にさらしてアク抜きをするほうが良いでしょう。
炒めるときやスープの具材にするときも、生のまま使わず、まずアク抜きをしてから調理することをおすすめします。
下処理は切らずに短時間で
購入してきたホウレン草は一見、汚れが目立ちませんが、根元付近に汚れやほこりが付着している可能性があるため、まずはしっかりと洗うことが大切です。根元に切り込みを入れたら、流水で茎が重なっている部分を広げるようにして根元をしっかりと洗います。葉先側も丁寧に水洗いしましょう。洗い終わったら、軽く水気を切っておきます。
ホウレン草は、切らずにそのままで下処理をします。カットした断面から、カリウムなどほかの有効な栄養素が流出してしまうのを防ぐためです。鍋で沸騰させた湯に塩を入れ、硬い茎側を先に少しゆでてから葉のほうも入れて1~2分ゆでます。
その後ボウルにはった冷水にさらします。長い時間、ゆでたり、水にさらしたりしないよう注意しましょう。食感が悪くなるのに加え、こちらも栄養素が流出してしまう原因になるので、下処理は短時間で終えることを心がけてください。
冷水から取り出したら、根元部分を上にそろえて手で持ちます。上の根元部分から下の葉先まで手で絞って水気を取ります。その後、食べやすい長さにカットします。下ゆでしたホウレン草は、冷蔵庫保存できますが、あまり日持ちしないので、早めに使い切りましょう。または小分けにしてラップに包み、密封保存袋に入れ、冷凍庫保存しておくと、アク抜きも終えているので、必要な量をすぐに使えて便利です。
βカロテンやビタミンC、鉄、カルシウムなど栄養豊富なホウレン草。しっかりと下処理をして、栄養を逃さず食べましょう。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾
