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重婚日記~笑撃の結婚生活~第8話 「結婚15年目で知った夫の家族背景」

公開日:  /  更新日:

著者:Rocco

教えてくれた人:坂本 尚志

義父の突然死で発覚した驚愕の事実

 それから5年後、義母の再婚相手(以下、義父)が急逝した。義理の兄夫婦はアメリカ在住のため、葬儀から相続を含む役所での手続きまで、私がほぼすべての手続きをこなした。義母の再婚相手といっても、義父は私にとっては完全な他人で、3~4回くらいしか会ったこともないのに、不思議な経験だった。

 義父は謎が多く、都心の駅近にある庭園付きの豪華な一軒家を、亡くなる数年前に売却していたので、かなりの資産があったはず。ところが、亡くなったときにはマンションの家賃さえも滞納していた。

 驚きのあまり義母に事情を聞くのだが、義父が一切のお金の管理をしていたらしく、何もわからなかった。その後は、義母の健康状態も不安だったため、義理の兄夫妻が義母を引き取り一件落着となった。

――豪邸を売ったお金はどこに消えたのか!? 家族全員が今でも不審に思っている。私からすれば、何が真実で何が嘘か、またわからなくなっていた。

義理の兄夫妻から聞いた真実で合わさる、過去のジグソーパズル

 この一件で、義理の兄夫妻とのやりとりが増え、話す機会も増えた。実は、夫と家族の縁を切ったことは一度もないということも教えてもらった。

 やりとりを重ねるほどに、ジグソーパズルのように「ああ、あのときのあれはこういう背景があったからなんだ」とか、「これは夫から聞いていた話と違うな」とか、過去のいろいろな出来事と事実が、少しずつ噛み合ってきた。

 謎が解けておもしろいなと思う一方で、聞いていた話と違っていても、不思議と怒りも悲しみも湧かなかった。そもそも重婚が発覚した時点で、すべて嘘の状態で私との交際が始まっていたとわかったので、それをいまさら問いただしたいとも思わないし、バラバラな過去のパズルを完成させたいとも思わなかった。

 こうして振り返ってみると、過去の出来事はもう、私にとって大きな意味を持たない。結局のところ、現在や未来に影響がないのであれば、過去がどうだったかなんて、どうでもいい。気にするだけ損だと思う。

【重婚について】
刑法第184条では、すでに配偶者がいる者が別の相手と婚姻した場合を「重婚罪」と定めています。ただし、実際の現場では、意図的なものばかりでなく、外国との戸籍や手続き上の制度の違いや、ミス・誤認などによって、意図せず結果的に重婚状態になってしまうケースもあり得ます(清陵法律事務所・坂本尚志)。

(Rocco)

Rocco(ロッコ)

20年近い結婚生活で、次々に起こる波乱を、泣きながらも笑いに変えて乗り越えてきた。とくに、戸籍制度の落とし穴から生じた「国内重婚」という、聞いたこともない状況に直面し、検索しても事例が見つからず、孤立無援の中で悩んだ経験は大きい。実際の体験をもとに、戸籍制度とレジリエンスをテーマに綴っています。

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坂本 尚志(さかもと・たかし)

弁護士。清陵法律事務所所長。プロボクサー。東京大学法学部卒業。詐欺・消費者問題に注力。https://seiryo-law.com/