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重婚日記~笑撃の18年間~ 第10話「日本人の知らない、戸籍のない世界」

公開日:  /  更新日:

著者:Rocco

米国大使館は、独身証明の公証を廃止と公表

 タイムリーなことに、2025年9月1日より、在日米国大使館および米国総領事館は、米国市民の「婚姻要件具備証明書(独身証明)」の公証を廃止したと公表した。

 要点はこう。

・これまで大使館でやっていたのは、独身を「事実として証明」する業務ではなく、あなたの自己申告に領事が立ち会って署名を公証するだけの手続きである(宣誓供述の公証)。

・ところが、アメリカには結婚の中央登録簿がなく、婚姻は州の専管事項。大使館には真偽を確認する手段がない。

・にもかかわらず、日本側では「大使館の印=事実の保証」と誤解されがち。そこで、誤解とリスク(虚偽宣誓・責任の所在)を避けるため、公証業務を廃止する。

 大使館が独身証明の公証を廃止したことで、国際結婚の手続きにも変化が生じている。自治体によって確認方法が異なったり、手続きに時間がかかったりする場面も増える可能性があるだろう。

 そもそも日本側では、外国人の婚姻履歴を照会する術がなく、独身かどうかの最終的な確認責任は、よりいっそう当事者本人にゆだねられる形になる。つまり、「相手が本当に独身なのか」を自分で確かめる意識が、これまで以上に必要になってくるということ。

戸籍制度の改変には大きなリスクも伴う

 戸籍がない場合は「独身証明書」が欠かせないけども、アメリカに限らず、この「独身証明書」には、偽造や照会漏れによる抜け穴が生じるリスクがあると指摘されている。

 近年、選択的夫婦別姓のための法整備が議論されているが、今後、もし日本の戸籍制度そのもののあり方が変化すれば、婚姻手続きや情報管理の仕組みにも影響が及ぶ可能性があるだろう。

「選択的」だから、別姓を選択しない人にはなんの影響もないということではない。戸籍制度そのものが変わってしまうことは、すべての日本人に影響があるし、その改変による想定外のリスクは計り知れない。

(Rocco)

Rocco(ロッコ)

20年近い結婚生活で、次々に起こる波乱を、泣きながらも笑いに変えて乗り越えてきた。とくに、戸籍制度の落とし穴から生じた「国内重婚」という、聞いたこともない状況に直面し、検索しても事例が見つからず、孤立無援の中で悩んだ経験は大きい。実際の体験をもとに、戸籍制度とレジリエンスをテーマに綴っています。

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