インドでもっとも盛大なイベント

　そんなインドで一番盛り上がるイベントは、毎年10～11月頃に5日間続く「ディワリ」です。

　主にヒンドゥー教のお祭りで、「光が闇に勝つ」「善が悪に勝つ」ことを祝うため、人々はオイルランプやイルミネーションで家や街を飾ります。そのため、「光の祭典」とも呼ばれます。

　オイルランプだけではなく、花火や爆竹でもお祝いします。ディワリシーズンは「バンバンバン！」と、爆竹の音が四六時中鳴り響いていました。家の屋上からは、あちこちから打ち上げ花火が見えて、「こんな光景は日本で見たことがない」と驚いたものです。

　インドの多くの地域で新しい年が始まる節目としてとらえるので、日本の年末年始の感覚に近いのかもしれません。ディワリの時期が近づくと、家の掃除や飾りつけ、家族や友人に配るギフトの用意、お祈りの準備など、大忙しです。多くの人がギフトを贈り合うため、インドでは「ディワリ商戦」が存在し、あちこちでディワリ関連のセールや売り出しが行われます。

　ディワリは、北インドでもっとも盛り上がるイベントでしょう。心なしか、道行く人々の顔もウキウキしているように見えました。私は「なんだかクリスマスと正月がいっぺんに来たみたいだな」と感じたものです。ディワリの時期に北インドに行けば、そのときならではの独特の雰囲気が味わえますよ。

（中谷 秋絵）

中谷 秋絵（なかたに・あきえ）

取材ライター。新卒3年で心を病み、インドにバックパッカーの旅へ。インドの寛容さに救われ、日系旅行会社で働きながら約2年滞在。その後もたびたびインドを訪れている。2021年よりフリーランスのライターに。自身のインド経験を綴った「どんなに自己肯定感が低くても生きやすくなるすごいインド思考術」（ANU WORKS出版刊）など、2冊の電子書籍を出版。インドのダンスも踊っている。