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「なんで体調管理できないの?」 毎年繰り返される年末年始の悪夢と“喪失感” 妻が夫を責めてしまう理由

公開日:  /  更新日:

著者:和栗 恵

教えてくれた人:夫婦カウンセラー・原嶋 めぐみ

毎年のことなら“行事”にしてしまうと楽しくなる

 年末年始、せっかくの計画が夫の体調不良で崩れてしまう。その繰り返しは、誰にとっても大きなストレスです。とくに友奈さんの場合、年に一度の帰省が叶わないという積み重なる“喪失感”が、心の負担をより大きくしているのでしょう。この状況に対し、夫婦カウンセラーの原嶋さんは、まずこう語ります。

「パートナーさんが年末年始に体調を崩すのは、どうやら毎年のパターンのようですね。であれば、いっそ“年末年始には予定を立てない”ことを前提にしてしまうのが、最も気持ちが乱れにくい方法だと思います」

 ただ、現実には毎年計画が崩れ、そのたび友奈さんは「帰省できない」「自分の家族が後回しにされている」と感じてしまう。その“胸の痛み”を無視するわけにはいきません。原嶋さんは、そこにこそ感情のもつれの原因があると指摘します。

「友奈さんが感じている不満は、“ただ予定が崩れること”以上のものです。大切にしたい家族行事が失われる悲しさや、ご自身の実家が尊重されていないように感じるつらさが背景にある。それはとても自然な感情です」

 そのうえで原嶋さんは、「体調を崩した夫に冷たくしてしまう」ことに自己嫌悪する友奈さんへ、気持ちが乱れにくくなる考え方を提案します。

「『なんで体調管理できないの?』と夫に向けてしまいがちですが、実際には“毎年のこの状況”に対して怒っているのだと思います。『私は夫に怒っているのではなく、繰り返される状況に怒っているんだ』と切り分けて考える習慣をつけると、冷たい言葉が出にくくなると思います」

 気持ちをひとつずつ整理したうえで、夫婦で話し合うことが大切だと、原嶋さんは言います。

 実家に帰れないことへの“喪失感”や、繰り返される状況への戸惑いを正直に伝えつつ、「どうしたらお互いに気持ちよく年末年始を過ごせるか」を一緒に話し合ってみてください。夫の生活習慣についても、責めるのではなく“より元気に過ごせるための相談”として言葉にすると、より穏やかな対話につながりやすいはずです。

(和栗 恵)