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年末年始に体調不良 以前もらった薬を飲んでも良い? 救急医が警告する危険なケースと正しい対処法

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:林 裕章

すぐに救急受診すべき危険なサイン

 年末年始は病院が開いていないことも多く、「このくらいで受診して良いのだろうか」「もう少し様子を見たほうが良いのでは」と迷ってしまう人も少なくありません。以下は、待ってはいけないサインです。単なる発熱の高さよりも、意識と呼吸の状態に注目してください。

・呼びかけに対する反応が鈍い、言動がおかしい、視線が合わない
・肩で息をしている、横になれないほど苦しい、唇が紫色(チアノーゼ)
・吐き気・嘔吐が続き、水分をほとんど取れない
・人生で経験したことのない頭痛や、強い胸痛、うずくまって動けないほどの腹痛

 これらは新型コロナ、肺炎、心筋梗塞、脳卒中など重い病気のサインとしても挙げられています。

 インフルエンザの場合、小児では意味不明なことを言う、走り回るといった異常行動が脳症の初期サインである可能性があるため、目を離さず、異変を感じたらただちに受診してください。

 救急車を呼ぶ以前にも、公的な相談窓口があります。受診の判断に迷ったら利用しましょう。

○#7119(救急安心センター事業)
 医師や看護師が救急車を呼ぶべきかアドバイスしてくれます。

○#8000(こども医療電話相談)
 お子さんの急な病気に対応しています。

 これらはトリアージ(緊急度の判定)のプロが対応するため、ネット検索で不安になるよりも確実な判断が得られます。

年末年始に備えて準備しておくこと

 上記のような症状がなく、軽い体調不良であれば、安静と水分摂取を心がけてください。多くの風邪や胃腸炎は、特効薬がなくても、自身の免疫力で自然に軽快することが多いとされています。脱水を防ぐために、経口補水液などを少しずつ摂取してください。

 また、かかりつけ医として患者さんにアドバイスしているのは、以下の4点です。

○持病の薬の確保
 高血圧や喘息などの薬が休み中に切れないよう、年内に必ず受診して、多めに処方をもらってください。

○アセトアミノフェンの常備
 市販の解熱鎮痛剤のなかでもアセトアミノフェン単体の薬は、インフルエンザや新型コロナでも比較的安全に使用でき、胃への負担も少ないため、一家にひとつあると安心です。

○経口補水液やスポーツドリンクの粉末の準備

○当番医の確認
 自治体の広報やウェブサイトで、年末年始の休日当番医をスマートフォンに保存しておきましょう。いざというときに検索するのは、大変なストレスになります。

 残り薬に頼るのではなく、相談先と最低限の準備を整えておくことが、一番の安心材料になります。

 いずれの場合も、かかりつけ以外の医療機関にかかるときは、お薬手帳を忘れないようにしましょう。

(Hint-Pot編集部)

林 裕章(はやし・ひろあき)

林外科・内科クリニック理事長。国立佐賀医科大学卒業後、救急や外科医として診療経験を積み、2007年に父の診療所を継承。現在は外科医の父と放射線科医の妻とともに、医療・介護の両面から地域を支える有床診療所と老人ホームを運営。福岡県保険医協会会長として医療情報の発信にも尽力。日本外科学会外科専門医、日本抗加齢医学会専門医ほか多数の資格を保有。