からだ・美容
年越しそばやお雑煮…温かいものを食べたときに出る鼻水は病気のサイン? 気になる“正体”を医師に聞いた
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教えてくれた人:林 裕章
市販の鼻炎薬や点鼻薬の効果は
食事中に人前で鼻をかむことを避けたい場合、市販薬の使用を検討する人もいるでしょう。市販の抗ヒスタミン薬は、花粉症などアレルギー要素が強い人には、有効なケースがあります。しかし、味覚性鼻炎の「反射性の鼻水」には効きが弱いことも。使用する際は、眠気など副作用にも気をつけてください。効果が出るまで時間がかかるため、食事の30分~1時間前には使用しておくのが理想的です。
血管収縮薬(鼻づまりスプレー)の点鼻は、一時的に楽になることはありますが、連用で薬剤性鼻炎(リバウンド)のリスクがあるため、会食のたびに使うのはすすめにくいです。一般に、連続使用は短期間に制限します。
また、「年々症状が強くなっている」「外出や会食に支障が出る」ほか「食事以外でも慢性的に続く」「鼻づまりや痛みなど他症状が増える」状態なら一度、耳鼻科を受診してみましょう。
今日からできる4つの対策
食事中の鼻水が気になる場合は、温かいものを食べないこと以外にも、日常でできる対策があります。
○少し冷ましてから口に運ぶ
湯気を直接吸い込まないようにするだけで、鼻粘膜への刺激は減ります。急激な温度変化を与えないことで、神経の興奮を和らげることができるでしょう。
○首の後ろや額を冷やす
自律神経の反射を抑えるため、冷たいおしぼりなどで首元や額を軽く冷やすと、鼻水の分泌が落ち着くことがあります。
○ゆっくり噛んで食べる
急いで食べると、口や鼻への刺激が強くなります。ゆっくり噛んで食べることで、神経の興奮を和らげることができるでしょう。
○刺激物を控える
熱さだけでなく、唐辛子などに含まれるカプサイシンなどの辛味成分も、同じメカニズムで鼻水を誘発します。重要な席では控えるのが無難です。
これ以外に、食前に鼻をかんだり、席に着く前にトイレで整えたりするのも良いでしょう。
味覚性鼻炎の鼻水は、多くの場合、体を守るための自然な反応ですが、気になることがあれば医師に相談してください。適切な対策で、温かい食事を楽しみましょう。
(Hint-Pot編集部)
林 裕章(はやし・ひろあき)
林外科・内科クリニック理事長。国立佐賀医科大学卒業後、救急や外科医として診療経験を積み、2007年に父の診療所を継承。現在は外科医の父と放射線科医の妻とともに、医療・介護の両面から地域を支える有床診療所と老人ホームを運営。福岡県保険医協会会長として医療情報の発信にも尽力。日本外科学会外科専門医、日本抗加齢医学会専門医ほか多数の資格を保有。
