Hint-Pot | ヒントポット ―くらしがきらめく ヒントのギフト―

「おせちは保存食」だから安心? お正月に気をつけたい食中毒 管理栄養士が警鐘

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

教えてくれた人:藤田 えみこ

豪華なおせち(写真はイメージ)【写真:写真AC】
豪華なおせち(写真はイメージ)【写真:写真AC】

 おせち料理やごちそうが並ぶお正月。食べて、飲んで、のんびりとした時間を過ごす人もいるでしょう。しかし、気をつけたいのが食中毒です。寒い季節は菌の活動が弱まると思いがちですが、実は少しの油断が重なることで、食中毒の原因になることも。お正月だからこそ気をつけたいポイントについて、管理栄養士の藤田えみこさんに伺いました。

 ◇ ◇ ◇

近年のおせちは保存食とはいえない?

 おせちはもともと、お正月に家事を忘れてゆっくり過ごすために作る保存料理です。塩や砂糖、酢などを多く使って濃い味付けにするなど、日持ちするように工夫されたものでした。

 しかし、近年のおせちは食材や調理法が多様化し、昔のような「保存食」という側面が薄れています。さらに、住宅環境も大きく変わり、暖房の効いた室内で飲食することが当たり前になりました。これは、菌にとって心地良い環境になっているといえるでしょう。

 お正月は家族や来客と過ごす時間が長く、おせち以外にも魚介や肉料理など、ごちそうを楽しむこともあります。「あとでもう少し食べるから」とか「せっかくだから食卓に並べておこう」などの思いから、料理をしばらく置いたままにするかもしれません。本来は冷蔵が必要な食べ物を、温かい部屋に長時間出しっぱなしにしておくことで、菌が繁殖しやすくなり、食中毒の原因になることもあります。

直箸や素手で料理に触れるのはNG

 さらに注意したいのが、口をつけた箸や素手で取り分ける行為です。人の手や口の中には常に菌が存在しており、それが食品に付着した状態になると、時間の経過とともに雑菌やカビが繁殖する可能性があります。

 お正月のおせちやごちそうは、重箱や大皿に盛りつけられていることが一般的です。取り分けるときは、素手や直箸を控え、清潔な菜箸やトングを使いましょう。

 複数人が触れた料理を、翌日に持ち越さないことも大切です。別の容器に取り置きして、冷蔵庫で保存すれば安心だと考えられやすいのですが、手や口の菌の付着を考えると、そうとは限りません。食卓に並べた料理は食べ切るか、または食べ切れる分だけ盛りつけることをおすすめします。

冷蔵庫に詰め込みすぎない

 年末からの買い置きなどもあり、お正月の冷蔵庫は、食品でいっぱいになりがちです。庫内がぎゅうぎゅうになると、冷気の循環が悪くなり、場所によっては温度が上がってしまうことがあります。冷蔵しているつもりでも、菌がゆっくりと増えやすい環境になっていることもあるので、詰め込みすぎには注意しましょう。

 また、庫内で生肉や魚のパックから汁が漏れて、ほかの食品に付着することも。これらの汁にはサルモネラ菌やカンピロバクター、大腸菌などが含まれている可能性があり、庫内で二次汚染が起こるリスクがあります。生肉や魚のパックは袋に入れ、しっかりと密封して保存しましょう。汁漏れを見つけたときは、すぐに拭き取りとアルコール消毒を行ってください。手洗いも忘れずに。

 年始を気持ち良く過ごすためにも、保存や取り扱いの基本を意識して、おいしいお正月を楽しみましょう。

(Hint-Pot編集部)

藤田 えみこ(ふじた・えみこ)

管理栄養士。女子栄養大学卒業後、教育や医療・介護の現場の献立開発に携わる。結婚後、地元山口県へUターン移住。出産・育児を経て、栄養と献立を伝える現場へ転職。コロナ禍をきっかけにオンラインにて料理講師としての活動をスタート。痩せにくい世代へのダイエットメニュー、災害時に役立つ防災食講座などが人気。健やかな体作りのために、栄養や調理など食の知恵を発信する。2児の母。
インスタグラム:jitan.eiyo