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正当な獣害対策でも設置者の責任に!? 帰省シーズンの“予期せぬ事故” 弁護士が解説
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教えてくれた人:坂本 尚志

お正月は里帰りなどで、普段はいない人が出入りすることもあるでしょう。子どもたちの行動範囲が広がり、思わぬトラブルが起こる場合もあります。害獣対策として設置された電気柵に、近所に来ていた子どもが触れてけがをした――。「私有地だし、正当な対策だったはず」。そう思っていても、あとから責任を問われるケースはゼロではありません。帰省シーズンならではの注意点について、弁護士の坂本尚志先生に聞きました。
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獣害対策用の電気柵で子どもがけが
ここ数年、イノシシやシカによる被害が増えており、自分の畑を守るため、周囲に電気柵を設置しました。このあたりは高齢者が多く、子どもの姿はあまり見かけません。普段は人が立ち入る場所ではなく、私有地として管理しているつもりでした。
しかし、年末年始になり帰省してきたのか、近所に見慣れない家族の姿を見かけました。小さな子どもが農業用水路を飛び越えたり、あぜ道を行き来したりする様子を見て、少し危ないと感じ「そこは電気柵があるので、気をつけてくださいね」と保護者に声をかけたんです。保護者の方は軽くうなずいていましたが、とくに子どもを止める様子はありませんでした。
翌日のことです。その家族が自宅を訪ねてきて「子どもが電気柵に触れてけがをした」と、強い口調で訴えてきました。幸い、命にかかわるような大きな事故ではありませんでしたが、子どもは手にけがをしており「もっとわかるように注意するべきだったのではないか」「子どもが触る可能性を考えていなかったのか」などと責められました。
事前に声はかけていましたし、害獣対策として必要な設備でもあります。場所も私有地です。それでも、こちらに責任があるのでしょうか。どこまで対応すべきなのか、判断に迷っています。
「私有地だから大丈夫」とは限らない
こうしたケースについて、弁護士の坂本氏は次のように説明します。
「害獣対策として電気柵を設置すること自体は、正当な行為です。ただし、それだけで設置者の責任がすべて否定されるわけではありません」
ポイントになるのは、事故を予測できたかどうかだといいます。
「周囲に住宅があり、帰省などで子どもが出入りすることが想定できる場所であれば、子どもが誤って触れてしまう可能性も考える必要があります。私有地であっても、安全への配慮が不要になるわけではありません」
たとえば、注意書きを設置していたとしても、それだけで十分とは言い切れない場合があるそうです。
「『立ち入り禁止にしていた』『注意喚起はしていた』という事情があっても、設置場所や見えやすさ、触れやすさによっては、十分な配慮があったかどうかが問われることがあります」
「正当な目的だったかどうか」よりも、「もう一段の対策が取れなかったかどうか」が判断材料になるといいます。
似たような場面でも、同じ考え方が当てはまります。
たとえば、雪かきをしたあとにできた雪山で子どもが遊んでけがをした場合や、私有地にある池に誤って落ちてしまった場合なども「危険を予測できたか」「防ぐための配慮があったか」が問われます。
悪意がなかったとしても、責任を問われる可能性がある点は共通しています。