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「バッシングの100倍はつらかった」 加藤綾菜さんが明かす中学時代の壮絶ないじめ 心を救った母の手紙
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「あんたは素晴らしい子なんだよ」 お弁当に添えられていた母の手紙
当時、母はシングルで私と弟を育ててくれていました。余計な心配をかけたくなくて、いじめのことは打ち明けられずにいたのですが、事態が深刻になり、学校から呼び出しの連絡が入ったことで、母は初めてすべてを知りました。
その夜、「いじめられとるんか?」と聞かれ、私は嘔吐を繰り返しながら、これまでのことを話しました。
「学校、もう行かんでいいよ」
そう言ってくれた母の言葉に救われましたが、翌日だけ休み、その次の日からはまた学校へ行きました。
そしてお昼休み。いつものようにトイレでお弁当を広げると、母からの長い手紙が入っていたんです。そこには、母がこれまで生きてきたなかで出合った言葉や、元気が出る言葉がたくさん書かれていました。なかでも、忘れられない一文があります。
「綾菜は今、いろいろ言われているかもしれんけど、違うからね。あんたは素晴らしい子なんだよ」
その日から毎日、お弁当には手紙が入っていました。仕事をかけ持ちしていた母が、きっと夜中に書いてくれていたのだと思います。ある日、こんな言葉が目に留まりました。
「勇気は勝手に出てくるものじゃない。自ら出すものだよ」
その言葉に背中を押され、私は決めました。翌日から、教室に入ったら必ず「おはよう!」と、大きな声であいさつをするようにしたんです。最初は無視され続けました。それでも毎日続けていると、ある朝、ひとりのクラスメイトが小さな声で言ってくれました。
「綾菜、おはよう」
その瞬間、胸がいっぱいになりました。あいさつを返してもらえたからではありません。「私はここまで、負けずに来られたんだ」と、自分自身に感動したんです。
環境が変わらないなら、自分が変わればいい。そう思えたことは、目の前が一気に明るくなるような体験でした。
「あなたを大切に思っている人は、必ずいます」
当時、どうしてあの時間を乗り越えられたのかを考えると、やっぱり母の存在が一番大きかったと思います。自分のことを100%信じてくれる人がいる。その安心感が、私を支えてくれていました。
今、学校に行くのがつらい子どもたちとやりとりをするなかで、あの頃の自分を思い出すことがあります。特別なことはできなくても、「あなたの味方だよ」と伝え続けることはできる。それだけで救われる瞬間があることを、私は身をもって知りました。
だから今も、できる範囲で、目の前の人の話を聞くようにしています。あの頃、私が母にそうしてもらったように。
もし今、苦しくて前が見えなくなっている人がいたら、どうか忘れないでほしい。あなたを大切に思っている人は、必ずいます。今は気づけなくても、きっとどこかで、あなたを見守っている人がいる。そのことだけは、信じていてほしいなと思います。
※厚生労働省では、悩みや不安を感じたときに相談できる以下の窓口の活用を呼びかけています。
・こころの健康相談統一ダイヤル:0570-064-556
・#いのちSOS:0120-061-338
・よりそいホットライン:0120-279-338
・いのちの電話:0570-783-556
(Hint-Pot編集部)