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「大人は座れないですよね?」→「座れます~」 童話の名シーンを再現 大手家具メーカーとコラボで誕生した椅子に4.3万“いいね” 「ワクワクする」

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

国内だけでなく、海外でも展示

 制作で最もこだわった点は「余計なデザインを盛り込まないこと」。一方で、最も難しかったのは、協働作業ならではの課題でした。

 通常、つちやさんはアイデアから図面、制作までひとりで完結させるのですが、この椅子は大まかな図面を渡し、その後の制作をカリモク家具にお任せしました。普段はひとりでの作業が多いため、指を挟まないようにするための安全対策など、細かな部分を伝える際にやりとりの難しさを感じたそうです。

 それでも「この椅子に関しては自分で作ってもこんなに精度良くできなかったので、本当にカリモク家具の方々には感謝しています」と振り返りました。

 こうして試行錯誤の末、誕生した「おやゆび姫の椅子」は2019年に2脚を制作。その後、2024年に香港での展示などで足りなくなったことで、追加で3脚が作られました。

「いろいろな国の方々が座ってくれましたが、国境を超えてもうれしそうで楽しそうなリアクションは同じでほっこりしました」と、多くの人に喜びと驚きを届けています。

神戸のオブジェが作家への原点

つちやさんの自信作のひとつの「輪唱の○」【写真提供:美術・木工作家つちやあゆみ(@ayumi__tsuchiya)さん】=ホームページより
つちやさんの自信作のひとつの「輪唱の○」【写真提供:美術・木工作家つちやあゆみ(@ayumi__tsuchiya)さん】=ホームページより

 つちやさんが作家を目指すきっかけとなったのは、神戸のハーバーランドにある「DinDon」という音の出るオブジェでした。球が転がると鉄琴がドレミファソ……と鳴る仕組みを見て、「次の球が来るまでに鉄琴の順番を入れ替えてみたい」と小学生の頃から思い続けていたといいます。その思いが、つちやさんの代表作「輪唱の○」という作品となり、作家として生きるきっかけになりました。

 つちやさんは会社を辞めて、25歳で多摩美術大学夜間部に入学。建築を学び、卒業後は独学で木工を始めました。本やネットで使い方を調べながら、少しずつ木工を覚えていったそうです。

「卒業制作の際にほぼ初めて工具に触れたのですが、使い方を教えてもらえる環境ではなかったので、スイッチを入れたらケガをして血まみれに……ということを繰り返し、毎日制作をするのは怖かったです」

 今でも工具は怖いものと感じているといいますが、それでも好きを突き詰め、多くの人を感動させる作品を生み出し続けているつちやさん。素敵な作品は、自身のインスタグラムでも公開中です。また2月11日(水)には埼玉県の小原歯車工業のオープンファクトリーで5作品を展示予定。春から夏にかけ、北海道や岡山県の美術館で個展を予定しているそうで、まずます活躍が楽しみですね。

(Hint-Pot編集部)