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野良猫へのエサやりは問題なのか 子どもたちに正しい知識を 未来のために訴える「TNR」の重要性

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

「野良猫とは何か」 壮絶な現状を子ども達に知ってもらいたい

猫カフェ「ミーシス」にいるTNRを施された猫。右耳が桜の花びらのような形に【写真:Hint-Pot編集部】
猫カフェ「ミーシス」にいるTNRを施された猫。右耳が桜の花びらのような形に【写真:Hint-Pot編集部】

 講座は、前述した「ふー動物病院」の亀田先生監修のテキストを使い、野良猫とは何か、そして抱える問題、助ける方法を、木原ディレクターがスライドに合わせ話していきます。諸説ありますが、野良猫が増えたのは、江戸時代に猫を繋いで飼うことが禁止されたことからではないかと言われているそう。現代では、猫の飼育ができなくなったり、性格が合わないといった理由で捨てる人がいたりして、その猫達が子どもを産んで増えていると言われています。

 では野良猫が増えるとどんな問題が出てくるのでしょうか。市町村の行政には、猫達の大きな鳴き声による騒音、糞尿、感染症やノミ、ダニ、生ごみを荒らされるなど、様々な相談が寄せられています。こうした苦情が増えていくと、保健所や愛護センターに連れていかれ、そこから譲渡会などで引き取られる場合もありますが、殺処分をされてしまうこともあるそうです。その半数以上は子猫だといいます。

たとえ殺処分されなかったとしても、増えてしまったほとんどの子猫は飢えや猫風邪などの病気で死んでしまうのが現状です。そこで、猫ねこ部が考えてほしいと子ども達に訴えたのは、かわいいからと言ってむやみに「猫にごはんを与える」ことが実は死んでいく命を増やしてしまっているということ。それを食い止めるために「TNRが大切」だということ。

 TNRは猫を捕獲し、不妊手術を行い、また元の場所に戻すこと言います。元の場所に戻された猫には大きな特徴があります。それは手術を受けた証として、片耳が桜の花びらのようになっていること。こうしてTNRを受けた猫達を別名「さくらねこ」と呼んだりもします。こういった特徴があることで、この猫は子どもを増やさないので殺処分をされる必要がなくなることと、子どもが生まれることがないので、生まれて間もなく死んでいく命がなくなるのです。

子ども達が猫達の命を守るためポスター作りに挑戦!

講義後、ポスター制作をする親子。お母さんのひざの上には猫の姿も【写真:Hint-Pot編集部】
講義後、ポスター制作をする親子。お母さんのひざの上には猫の姿も【写真:Hint-Pot編集部】

 イベントでは野良猫の壮絶な現状を、真剣な様子で聞き入っていた子ども達。真面目な話の後は、猫達と戯れ、そしてこの事実を多くの人達に知ってもらうためのポスター作りを行いました。子ども達が描いたポスターは、イベントが行われた「ミーシス」で、しばらくの間、展示される予定です。

 テキストを監修した「ふー動物病院」の亀田博之先生は、次のようにメッセージを送りました。

「多くの人が知ってくれて、どうすればいいのか考えてくれることが、外で暮らす猫ちゃん達が幸せになる第一歩です。いろんな人が協力して、猫ちゃん達の命を守れるようなやさしい社会になって欲しいですね」

(Hint-Pot編集部)