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仕事・人生

ハンターから「やってみるか?」 初めて目にした熊の解体 元公務員が狩猟免許を取得→牧場スタッフに転身した理由

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

北海道の牧場で働きながら、狩猟にも携わっている坂本寿々子さん【写真提供:坂本寿々子】
北海道の牧場で働きながら、狩猟にも携わっている坂本寿々子さん【写真提供:坂本寿々子】

 安定した公務員の職を辞め、酪農の現場へ飛び込み、ハンターとしても活動する女性がいます。さまざまな分野で活躍する女性たちにスポットを当て、その人生を紐解く連載「私のビハインドストーリー」。今回は、町役場から北海道の牧場に転職し、狩猟にも携わる坂本寿々子さんに、話を伺いました。前編では、酪農に関心を持ったきっかけから、役場時代の経験や狩猟との出合い、そして転身を決意するまでの歩みを追います。

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牛乳廃棄のニュースがきっかけ 酪農に興味を持ち北海道へ

 坂本さんが酪農に興味を持ったきっかけは、福岡で過ごした高校時代にさかのぼります。高校で卒業後の進路を考えていたとき、ちょうど牛乳の生産調整がニュースで大きく取り上げられていました。もともと農業に興味があったそうですが、生産者たちが牛乳を廃棄せざるを得ない状況を知り、「酪農」という世界を強く意識するようになったといいます。

 動物が好きだったこともあり、農業のなかでも酪農を学びたいと思った坂本さん。酪農の本場・北海道に行くことを決め、酪農学園大学への進学を選びました。

 大学では畜産について学び、卒業後は北海道職員として釧路方面で3年間勤務。その後、標茶町の酪農家で2年間働きました。そして、日高山脈のふもとに位置する人口約4000人の平取町役場に就職。ここで約10年間を過ごしました。

役場の仕事で出会った「狩猟」の世界 価値観を変えた現場体験

 役場時代、有害鳥獣駆除の担当部署に配属された坂本さんは、狩猟免許を取得する動機となる出会いを果たします。

「そこで出会ったハンターさんたちの自然や動物に対する知識の深さに触れ、一緒に現場に行くのが楽しくなりました」

 業務として捕獲された現場に初めて足を運んだ坂本さんが目にしたのは、熊の解体でした。「やってみるか?」とハンターさんに声をかけられ、進んで解体作業にも参加しました。「獣肉は臭い」という先入観があったそうですが、適切に処理された肉のおいしさに感動を覚えたといいます。また、「ハンターという職人の世界で対等に話せるようになりたい」という思いが坂本さんを動かしました。

友人が知らせてくれた牧場の求人情報

 役場時代は、さまざまな経験を積み、充実した日々ではあったものの、人間関係などに悩み、心身のバランスを崩した時期もあったといいます。

 そんな坂本さんが転機を迎えたのは、2024年冬のこと。日本海に面した人口約7000人の道南の町、せたな町で新規就農した大学時代の友人が、坂本さんにひらかわ牧場の求人情報を知らせてくれました。

 酪農は生き物相手の仕事ゆえ、24時間365日目が離せず、休みが取りにくいのが業界の常識です。それがこの牧場では週休3日という勤務形態で、坂本さんにとって現実的に続けられる条件でした。