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「いただいた命を無駄にせず、循環させていきたい」 牧場スタッフに転身した元公務員女性がハンターとして向き合う現実

公開日:  /  更新日:

著者:Hint-Pot編集部

「その死を無駄にしないことが償いであり、感謝の形」

山に入って狩猟をする日も【写真提供:坂本寿々子】
山に入って狩猟をする日も【写真提供:坂本寿々子】

 牧場では牛を育て、山では鹿や熊を追う――一見相反するように見えることについて尋ねると、坂本さんは少し考えてから、こう答えてくれました。

「私は動物が好きというより、『自然』が好きなんです。家畜も野生動物も、いずれは人間の都合で命を絶たれるときが来ます。家畜は経済動物で、ペットのように情だけで飼い続けることはできません」

 それは、現実を直視した言葉でした。私たちが日々口にする酪農製品は、誰かが育て、命を絶っていった動物たちです。その当たり前の事実を、坂本さんは2つの現場で日々実感しています。その言葉には、現場に立っている人ならではの重みがありました。

「だからこそ、私たちのために死んでいってくれた命に対して、その死を無駄にしないように最後まできちんと向き合い、無駄にしないことが償いであり、感謝の形だと思っています」

 シカであれば肉、皮や角、クマであれば歯や爪まで取り、できる限り有効活用すべく、心がけています。

いただいた命を無駄なく循環させる未来へ

 これからやってみたいことを聞くと、坂本さんの目が輝きました。

「将来、自分で獲ったジビエを料理して、提供するお店を持てたら良いなと思っています。まだ全然動けていないので、夢のまた夢なんですけれどね」

 そう笑いながら未来を見つめる坂本さん。自身が平取町役場時代に出合って感動したジビエ料理のおいしさを、もっと多くの人に知ってもらいたいという思いが、この夢の根底にあります。

「お酒を飲んで人とワイワイするのが好きですし、ジビエ料理がおいしいことをもっと多くの人に知ってもらいたい。いただいた命を無駄にせず、循環させていきたいですね」

 これまでの経験が積み重なった、坂本さんらしい夢です。町役場の有害鳥獣駆除担当として出合った狩猟が、将来の夢につながっています。

 役場職員として安定を手放して、飛び込んだ牧場での生活。そしてハンターとして過ごす時間。ここで自然と向き合い、命と向き合い、人と向き合いながら、坂本さんは新しい未来を描き始めたのです。そうした思いを胸に、今日も牧場と山の現場に立っています。

(Hint-Pot編集部)