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「疲れたときは甘いもの」は間違い? 疲れを取るための“正しい”食べ方とは
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教えてくれた人:和漢 歩実

「疲れたときは、甘いものを食べると良い」といわれることがあります。素早くエネルギーが補給され、回復できるイメージがある一方で、食べ方によっては、かえって疲労感を強めてしまうこともあるようです。栄養士で元家庭科教諭の和漢歩実さんに、疲れたときの甘いものとの付き合い方を伺いました。
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脳からの指令で自然な反応
疲れたときに甘いものが欲しくなるのは、脳からの指令で自然な反応です。脳は体のなかで多くのエネルギーを使う場所といわれ、エネルギー源としてブドウ糖を使っています。疲労が溜まると、「甘いものが必要だ」と指令が出されることで、効率よく糖を補給できる甘いものが欲しくなるのです。
また、ストレスを感じていると気分を安定させようとし、甘いものを欲しやすくなることがあります。糖を取ることで、精神安定に関わるセロトニンの働きと関連する仕組みがあるとされており、一時的にリラックスできる効果があるため、つい手が伸びてしまうのです。
一般的には、食事を一日に3回、きちんととっていればエネルギーが不足することはないのですが、十分な食事をとっていなかったり、オーバーワークだったり、ストレス状態が続いたりすると、脳からエネルギー補給のアラートが出ます。したがって「疲れたときは甘いもの」ということ自体が、間違いというわけではありません。
注意したいのは、甘いものそのものではなく、食べ方です。とくに空腹の状態で糖質を多く含む食品を過剰にとると、血糖値は急激に上昇した後、すぐに下降します。血糖値の乱高下は脳のはたらきを不安定にし、眠気やだるさが抜けないなどの症状を引き起こし、余計に疲れを感じてしまうこともあるでしょう。甘いものは、脳の栄養になりますが、血糖値を急激に変動させる食べ方は、体に良くありません。
疲れを感じたときの栄養補給の工夫
そこで、疲れを感じたときの栄養補給は、血糖値の急な変動を避けるような工夫をすると良いでしょう。甘いものを食べたくなったら、先にチーズやヨーグルト、ナッツ、小魚などを食べるのがおすすめです。これらは、血糖値を急上昇させにくいほか、疲労回復をサポートするアルギニン、脳疲労を軽減するトリプトファンなどのたんぱく質を構成するアミノ酸を含んでいます。また、牛乳や豆乳などを飲むのも良いでしょう。
甘いものは、菓子パンやケーキなど糖質と脂質が多いものより、和菓子や果物、カカオ含有量の高いチョコレートなどがおすすめです。重要なのは、量は控えめにすること。疲れているときほど食べすぎる傾向にありますが、血糖値の乱高下につながり、逆効果になってしまいます。少量でも脳のエネルギー補給には十分ということを意識してください。
(Hint-Pot編集部)
和漢 歩実(わかん・ゆみ)
栄養士、家庭科教諭、栄養薬膳士。公立高校の教諭として27年間、教壇に立つ。現在はフリーの立場で講師として食品学などを教える。現代栄養と古来の薬膳の知恵を取り入れた健やかな食生活を提唱。食を通して笑顔になる人を増やす活動に力を注いでいる。
ブログ:和漢歩実のおいしい栄養塾
